研究課題/領域番号 |
16K11859
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
三木 かなめ 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (30243710)
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研究分担者 |
福井 誠 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (50325289)
伊藤 博夫 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (40213079)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 天然ハーブ / 抗菌作用 / 抗酸化作用 / 抗炎症作用 / 歯周病予防 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、天然植物キャッツクロー抽出物による歯周病原関連細菌に対する抗菌作用およびヒト歯肉線維芽細胞(HGF)の培養系における抗酸化作用・抗炎症作用について、本格的に評価することを目的として行ってきた。またキャッツクロー抽出物による抗動脈硬化作用の評価についても行ってきた。 それらの結果について、抗菌作用の評価は、BHI broth培養系に、キャッツクロー抽出物を連続2倍段階希釈法で投与し歯周病原菌を24時間培養した後、菌の生育度への影響を調べた。生育度を濁度として吸光度計で測定したところ、P.g. とP.i. に対して、生育抑制が確認され、抗菌性が示された。 HGFにおける抗酸化作用の評価は、キャッツクロー抽出物が過酸化水素の添加による酸化ストレスを抑制するかどうかを調べた。細胞内で酸化をうけて蛍光発色するプローブを用いて、共焦点レーザー顕微鏡にて検出を行ったところ、キャッツクロー抽出物の添加によって、蛍光発色が抑制されてくることがわかり、HGFでのキャッツクローの抗酸化作用が示唆された。次年度では、再現性を確認してゆく。また抗炎症作用の評価は、P.g.LPS刺激による炎症性サイトカインの発現増強を抑制するかどうかを調べるために、条件の検討を行っており、次年度引き続き行ってゆく。 マクロファージ培養系を用いたキャッツクロー抽出物による抗動脈硬化作用の評価は、その前に、酸化ストレスで産生した酸化型LDLによるマクロファージの泡沫化促進モデルを構築することができた。次年度は、平成29年度で構築したマクロファージ培養系を用いて、キャッツクローによる泡沫化抑制効果を調べてゆく予定である。 本年度までの検討から、キャッツクロー抽出物の歯周病予防および治癒への利用にむけての有用な基礎研究の結果が認められはじめてきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
キャッツクロー抽出物による抗炎症作用の評価を行うための実験系の確立について、歯周病原菌P.g.LPS刺激で発現してくる炎症性サイトカインが増強してくる条件の決定がまだすんでおらず、抗炎症作用の評価が少し遅れている。抗酸化作用の評価については、順調にすすんでおり、再現性を見てゆく予定である。平成30年度は先に、以上の内容を実施しすみやかに遂行してゆく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究実施計画にそって実施する前に、抗炎症作用の評価および抗酸化作用の評価の再現性を検討し、さらに、抗動脈硬化作用の評価にむけて平成29年度で確立した実験系を用いて、キャッツクロー抽出物によるマクロファージ培養系におけるアテローム性動脈硬化関連遺伝子群の発現変化の解析を行ってゆく予定である。それから、平成30年度の研究実施計画の実験である歯周病および動脈硬化症疾患の動物モデルを用いて、投与したキャッツクロー抽出物の歯周病およびアテローム形成抑制効果の試験を行ってゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成29年度で予定していたキャッツクローによるヒト歯肉線維芽細胞での抗酸化作用の評価について、再現性を見るため、さらなる実験が必要となった。また抗炎症作用の評価については、行っている途中であり、両評価を行う実験に必要となる細胞培養関連品および試薬などの費用の分が、次年度に繰越になった。
(使用計画) 平成30年度の研究計画にそって実施する前に、ヒト歯肉線維芽細胞での抗酸化作用の評価の再現性実験と抗炎症作用およびマクロファージ系での抗動脈硬化作用の評価を行ってゆく予定である。また平成30年度の研究実施計画でのキャッツクロー抽出物による歯周病および動脈硬化疾患動物モデルを用いた歯周病およびアテローム形成への効果を試験してゆく予定になっており、研究費は、次年度の繰越額を含めて、これらの実験に必要な試薬類・動物の購入や実験遂行に必要な消耗品の購入にあてる予定である。そして研究成果の発表や情報収集のため、学会の参加を予定しており、このための旅費にも使用する予定である。
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