研究実績の概要 |
これまでの研究成果としては,唾液相対的p.g菌比率0.01%未満をp.g陰性群, 唾液相対的p.g菌比率0.01%以上をp.g陽性群に研究対象患者を振り分け統計解析したところ,AST,フェリチン,タイプ4コラーゲン7S,エンドトキシンに統計学的有意差を認めた。これはp.g陽性で肝機能マーカーの上昇と,グラム陰性桿菌の外膜成分であるLPS成分の存在を示している。さらにp.g陰性群とp.g陽性群に研究対象患者を振り分けフィブロスキャンとMREについて統計解析したところ,p.g陽性で肝硬度が高値を示している。また肝硬度3.4kPa未満を肝臓非線維化群, 肝硬度3.4kPa以上を肝臓線維化群に研究対象患者を振り分け血液検査について統計解析したところ,血小板,AST,タイプ4コラーゲン7S,エンドトキシンに統計学的有意差を認めた。肝臓線維化群で肝機能マーカー,エンドトキシンが高値を示している。肝臓非線維化群と肝臓線維化群に研究対象患者を振り分け血清抗体価について統計解析したところ,P.g SU63,P.g FDC38,A.a SUNY67に1以上の抗体値で統計学的有意差を認めた。肝臓線維化群ではp.g血清抗体価が高値を示している。これらは医科における血液,生化学検査,画像解析と歯科における唾液検査,歯周病検査,血清抗体価検査にてNAFLDと歯周病の関連を示している。 「p.g菌による感染が非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の肝硬度を進行させる」という研究成果の意義は従来の内科治療のみならず,歯科における歯周治療が消化器疾患への関与を示し,国民健康の維持増進に大きく寄与する。これらを基盤として,生活習慣病であるNAFLDが進行したNASH,さらに肝硬変への病態悪化に焦点を当て,歯周病の病態および歯周病原細菌がNAFLD,NASH発症に与える影響を詳細に明らかにすることが重要である。
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