研究課題/領域番号 |
16K11873
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
武内 博朗 鶴見大学, 歯学部, 臨床教授 (50572260)
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研究分担者 |
萩原 芳幸 日本大学, 歯学部, 准教授 (00228389)
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
野村 義明 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (90350587)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オーラルフレイル / 咀嚼機能 / 体組成 / タンパク質低栄養 / 糖質偏重食 / サルコペニア / 保健指導 / フレイル |
研究実績の概要 |
歯の欠損が咀嚼機能低下につながることは,容易に理解できる。さらに大臼歯欠損が、糖質偏重食を助長して、食後高血糖から糖質代謝異常を招いたり、タンパク質低栄養から骨格筋減少症を招いたりする結果、生活習慣病との関係が注目されている。しかしながら、歯の欠損の度合いと咀嚼機能との間に客観的数値基準が欠落している。また咀嚼機能改善から保健指導を経由して体組成改善につながる関係も数値による解析がなされていない。今回咀嚼機能改善からこれら健康増進に関係する事象についての研究成果を報告する。 グルコセンサー測定による健常者の咀嚼機能値は、右:207mg/dl±30、 左:207mg/dl±44(n=13)で平均 207±35㎎/dlであった。大臼歯部欠損側の平均は61±24mg/dl (n=35)、歯科補綴治療により136±40mg/dl(p<0.001)に回復した。補綴および保健指導実施後、体脂肪率は24.5±10.9%から23.3±9.9% (p<0.05) に減少した。補綴および保健指導実施後、基礎代謝量は21.0±1.9kcal/kcalから21.3±1.7kcal/kg (p<0.05)に上昇した。 補綴および保健指導実施後(n=2)、脂質代謝は、LDLコレステロールが、175±65mg/dlから160±54mg/dlに、中性脂肪が212±140m/dlから195±15mg/dlに減少した。分岐差アミノ酸および必須アミノ酸の値が上昇した。 PFCバランスはタンパク質と糖質比率が改善されたが脂質比率は上昇した。(タンパク質比率(P)12%→15%、脂質(F)23%→30%、糖質(C)66%→55%) FFQ の結果から介入後に糖質中の低GI食品の摂取量が増加し、高GI 食品の摂取量が低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大臼歯喪失と咀嚼機能値の関係および咀嚼機能値の変化に伴う体組成、代謝の変化も 被験者らのデータから概ね傾向が明らかとなってきた。試験的に行なっている咀嚼機能の回復と保健指導による体組成改善までの流れが、大変スムーズになってきており、被験者数もコンスタントに増加している。保健指導内容も大変解りやすく、行動変容が得られ易い効果的なものに改変されてきており、補綴診療から咀嚼機能改善効果測定とそれに続く体組成、代謝改善までの行程がほぼルーチン化されるに至っている。 研究の参加者からの評価も高く、まさに健康長寿を達成しうる理想的医療構築の基礎的データが蓄積してきており、補綴による各種体組成・代謝パラメータの経時変化などが、最終評価項目になる可能性を示す事が出来つつある。このことは、研究期間内に咀嚼機能回復の健康増進効果について数値化し検証することが期待出来る。
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今後の研究の推進方策 |
当初、咀嚼機能低下と低栄養の関係を証明しようと研究を開始したが、オーラルフレイルの予防から健康寿命延伸へのより広く実理的な方向性につながる事が示唆されている。 大臼歯を失うと、口腔虚弱から低栄養、骨格筋減少サルコペニア及び骨質低下を経由して、長い時間をかけて運動器の障害や要介護の状態へと続いている。 数十年前に端を発した咀嚼機能の低下が、驚くべきことに現在の寝たきりの初期要因にも繋がっている可能性がある。大切と思われる事は、歯科医師が臨床の中で口腔虚弱から始まる負のスパイラルの全体像を説明する努力を惜しまないことである。診療所に独歩通院していても、見るからに虚弱な患者には、身体機能低下が顕著になる前の段階を見逃さず口腔疾患からNCDsにまたがる総合的な診療体系と保健指導が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
体組成は、生体インピーダンス法(Bioelectrical Impedance Analysis: BIA)によって測定する計画であり、測定項目である body weight: BW(体重)、BMI、体脂肪率、LBM(除脂肪体重)、基礎代謝、内臓脂肪レベルについて、補綴治療及び保健指導の前後で、その変化について本機器で検討する必要があった為に、初年度に購入した。消耗品の価格予算が概算であった為に3711円が次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
グルコセンサーの測定機器を用いて健常者および片側臼歯部欠損症例歯列欠損者における測定キャリブレーションをおこない、左顎・右顎それぞれ5回ずつ咀嚼させ、唾液を採取して数値サンプルとし、統計解析する。(左右どちらか片側臼歯部欠損症例と補綴後における咀嚼力の状態およびその変化を評価する)補綴前後の体組成は、生体インピーダンス法で測定する。血中代謝産物値、基礎代謝量などの経時変化を観測し解析する。 この際、ランニング試薬、消耗品が必要であり、次年度使用額も充当する。
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