研究課題/領域番号 |
16K11876
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
真下 千穂 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80368159)
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研究分担者 |
馬場 俊輔 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40275227)
南部 隆之 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80367903)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 口腔硝酸還元活性 / 口腔善玉菌 / ロシア属細菌 / 口腔健康 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒト口腔内の硝酸還元活性がどの程度口腔健康に影響を与えているのかを明らかにし、最終的には口腔硝酸還元活性を基にした口腔健康(病態)レベルの指標を構築し、口腔健康増進に寄与することを目指している。 上記の研究内容を推進するために、、口腔内を健康に保つためにプラスに働く『口腔善玉菌』としての役割が注目されている、Rothia属細菌を用いて、以下の3つの方向性により研究を進めている。 ①高い硝酸還元活性を保有するRothia属細菌の遺伝学的背景を明らかにし、『口腔善玉菌』としての働きを担う遺伝子(群)を明らかにする。 ②Rothia属細菌が口腔健康に寄与する役割としての口腔病原微生物への殺菌効果を評価する。病原性の高い微生物(歯周病原菌、う蝕原因菌、ウイルス、真菌など)を対象に評価系の確立を行う。 ③口腔硝酸還元活性の測定方法を確立し、生体レベルでの測定を行い、個人的なバリエーションを明らかにしていく。個人的硝酸還元活性レベルと口腔健康の度合いを比較研究する。 平成28年度は、①高い硝酸還元活性を保有するRothia aeriaなど2菌種の全ゲノム配列を決定し、遺伝子改変の技術を構築した。②歯周病原細菌(Porphyromonas gingivalsを中心に)を対象にして、硝酸イオン存在下でのRothia属細菌の殺菌効果を明らかにした。③口腔硝酸還元活性の日内変動・個人差などを測定できる簡便な方法の確立を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究進展の方向性として掲げた3点のうち、2点(①と②Rothia属細菌を用いた実験系)は順調に進んでいる。Rothia属細菌の全ゲノム配列を明らかにすることができたので、硝酸還元に関連する遺伝子群をほぼ特定できた。Rothia属細菌を用いた殺菌効果の測定方法を確立できたので、次は様々な微生物を対象に行える状況になった。しかし、生体レベルでの硝酸還元活性を評価する③の方向性については、同一個人の中での測定値のばらつきや大幅な個人差が見られ、評価系としての物差しを構築するには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究の方向性①と②:硝酸還元遺伝子(群)を欠損した株を作製することにより、硝酸還元が口腔の殺菌効果に寄与する役割について遺伝子レベルで明らかにする。親株・変異株の両者を用いて、様々な微生物への殺菌効果の評価していく。 研究の方向性③:生体レベルでの硝酸還元活性を安定して測定できる系について、再度の検討を行い、実践できる方法を探す。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会での発表のための旅費を計上していたが、平成28年度は使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の学会発表に費用に使用する予定である。
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