要介護高齢者の誤嚥性肺炎発症を最小限に抑えるために、要介護高齢者の嚥下機能と栄養状態や口腔機能、体幹の筋量に着目し、調査研究を行った。 特別養護老人ホームに入所している要介護高齢者に対し、栄養状態評価を行った。さらに体成分分析装置により基礎代謝基準値を算出した。 要介護高齢者は177名であった.被験者の要介護度中央値は4であった.BMIの結果により男女共に平均値での低栄養状態は認められなかった(男性18.6±2.8kg/m2;、女性18.5±2.1kg/m2)。SMI(骨格筋指数)は男性7.3±2.0kg/m2、女性6.0±2.1kg/m2、FFM(除脂肪量)は男性36.0±7.6kg、女性26.3±6.4kg、BFM(体脂肪量)は男性11.0±9.5kg、女性12.0±7.9kgで、SMIとFFMに男女差(p<0.01)が見られた。また、ECW/TBW(細胞外水分)は男性0.4、女性0.4で男女ともに浮腫が見られる状態であった。基礎代謝基準値は男性が24.9±4.2kcal/kg、女性が25.0±4.8kcal/kgであった。 65歳以上の健常高齢者は123名であった。BMIは男性22.8±2.6kg/m2、女性22.9±3.1kg/m2、SMIは男性7.8kg/m2、女性7.2kg/m2、FFMは男性45.2kg、女性37.1kgだった。また、ECW/TBWは男性0.39、女性0.38であった。基礎代謝基準値は男性が22.8kcal/kg、女性が22.0kcal/kg/dayであった。TMI(体幹筋量)は男性7.76±0.81kg/m2、女性6.89±0.61kg/m2、JOF(開口力)は男性が8.78kg、女性が6.31kgであった。健常高齢者において摂食嚥下関連筋群のうちオトガイ舌骨筋と舌筋の筋力が体幹の筋量と関連が見られた。
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