研究課題/領域番号 |
16K11884
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
濃野 要 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80422608)
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研究分担者 |
金子 昇 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00397126)
伊藤 加代子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80401735)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 口腔乾燥 / 唾液 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
唾液の分泌量に関わる因子は多く報告されており、減少の際の原因の特定が難しい。リウマチやシェーグレン症候群といった疾患や放射線治療による唾液腺の破壊、薬剤の副作用、糖尿病や肥満による唾液の元になる血液中の電解質異常などにより流出量は減少するとされる。また、ストレスによる中枢性の抑制により、唾液量は減少する。本調査では地域在住高齢者を対象に唾液の減少についての縦断調査でのモデル作成を目標としており、今年度はその基準として横断調査で探索的に関連因子の検討を行った。 対象は76歳の342名男性186名、女性156名である。刺激時唾液の測定には吐唾法(パラフィンワックス、3分)を用い、安静時唾液の測定にはワッテ法(30秒)を用いた。全身の状態の把握として血液検査および質問紙による生活習慣(飲酒、喫煙等)、病歴、服薬の問診を行った。うつ傾向の検査はGeneral Health Questionnaire(GHQ30)を用いた。身長、体重を測定しBMIを算出した。血圧の測定を行った。各検査項目は2群にカテゴリ化し、唾液低下の有無との関連をみるためにχ二乗検定を行った。有意水準は5%に設定した。刺激時唾液は1.0ml/min以下、刺激時唾液は1.4g/30s以下を低下ありとした。 刺激時唾液(SSF)の低下のあったものは34.1%、安静時唾液(USF)の低下のあったものは68.1%であった。SSFは女性群、血清鉄低下群、うつ傾向あり群、口渇の副作用のある薬服用群、飲酒を行わない群で低下しているものの割合が高かった。USFでは糖尿病群、うつ傾向あり群で低下しているものの割合が高かったが、性差は認められなかった。以上より、本対象は性別およびうつ傾向が強い因子となることが考えられた。次年度以降は性別を層化因子として、うつ傾向を中心に縦断モデルを作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初より縦断調査の基準の状態を把握することを目的としていた。本年度の結果から本調査の対象の状態や特性の概略をつかむことができたため、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は対象者に対し追跡調査を行う予定である。本年度の結果を生かし、対象者に余分な負担をかけないようにすることもできる。また、解析に必要となる基本データも取得できているため、当初の計画通り、縦断研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の経費のうち多くは、検査機器の購入と検査費用であった。検査が次年度実施となったため、次年度使用額が発生した。また、成果の発表と打ち合わせも次年度となったため、その経費が繰り越される形になっている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は検査機器の購入と検査費用に持ち越された経費を使用する予定である。また、学会参加も次年度の開催となったため、その参加費用にも充てる予定である。
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