研究実績の概要 |
平成30年度は嗅覚刺激としてのBlack pepper oil; BPOを用いた刺激を継続させ,被験者数の増加と効果の差に対する要因について検討した. 被験者は計20名とし刺激条件は3種の異なる濃度のBPO(100 % v/v BPO, 50 % v/v BPO, 100% v/v sweet almond oil)を鼻翼より3 cm離した位置で鼻呼吸させるこ とにより1分間の嗅覚刺激を行った.嚥下機能変調効果の測定として経頭蓋磁気刺激(TMS; Transcranial Magnetic Stimulation)を用いた大脳皮質一次運動野(咽 頭 筋支配領域)誘発性の運動誘発電位(MEP)および咽頭部に0.1mL/secの速度で蒸留水を注入し嚥下反射惹起までの潜時(SRT: Swallowi ng Response Time)を測定した.測定は嗅覚刺激前(baseline)および刺激直後から15分ごとに30分後までとした. 優位半球誘発性MEPはbaselineと比較すると100 % v/v および50 % v/v BPOで刺激直後に有意なMEP増加(+42.6%および+46.8%)し,100 % v/v BPOについて は刺激30分後まで有意なMEP増加を認めた(15分後に+70.3%,30分後に+60.5%). SRTについてはいずれの濃度においてもbaselineから嗅覚刺激30分後までの間に有意な変化は認めなかった. さらに各被験者に100 % v/v BPO吸引時の匂い強度についてVAS評価を行ったが,BPOの香りに対する感受性が大脳皮質一次運動野の変調に与える影響・関連は認めなかった.
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