研究課題/領域番号 |
16K11895
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
大久保 真衣 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (60385218)
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研究分担者 |
杉山 哲也 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (50216347)
石田 瞭 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00327933)
眞木 吉信 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80125012)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 超音波 / 舌厚 |
研究実績の概要 |
【目的】近年、サルコペニアに関連して超音波診断装置を用いた舌の厚みを計測する研究が行われている。実際に臨床現場で要介護者の舌を計測する際、ベッド上で体位が傾斜していたり、プローブ固定装置を設置するのが困難な場合がある。そこでまず、若年健常成人を対象として、座位とセミファーラー位およびプローブ固定装置の有無で超音波診断装置を用いた舌の厚さの値に影響があるか検討を行った。 【方法】対象は平均年齢25.3歳の健康成人男性5名、女性8名とした。被験者は頭部を安定させ、体位を90度(座位)と30度(セミファーラー位)に変化させた。顎下部へのプローブの固定は、ヘッドギアを利用して保持するもの(固定装置有り)と手で保持するもの(固定装置無し)とした。計測は各条件で3回施行し、その平均値を舌の厚さとした。 統計学的検討には、フリードマンの順位に基づく反復測定分散分析およびスピアマン検定を用いた。本調査は、東京歯科大学倫理委員会の承認を得て行った(承認番号718)。 【結果と考察】舌の厚さは、90度・固定装置有りで48.5±6.8㎜、30度・固定装置有りで48.9±7.9㎜、90度・固定装置無しで49.3±6.3㎜、30度・固定装置無しで50.0±7.7㎜であった。各条件間で有意差はなかった。90度・固定装置有りと他の条件を比較したところ相関が認められた。これは若年健康成人であるために、30度の傾斜による舌の後方偏位が少なかったことが考えられる。また予めプローブ設置位置を再現性があるように規定しておけば、固定装置の有無は安静時の舌の厚みの計測値に大きな影響を与えないと考えられる。しかし要介護者では舌の筋力低下などの影響があるため、今後検討を加えていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
協力を得られる高齢者施設の選択に難航中
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今後の研究の推進方策 |
要介護高齢者への応用 超音波診断装置と既存のスクリーニング検査などとの比較 摂食嚥下機能を呈する要介護高齢者に応用する。対象は、摂食嚥下障害がありリハビリテーションを希望して、訪問診療の依頼があった患者で、口腔内の知覚に異常がなく、構音指示などを理解している者とする。 歯科医師または歯科衛生士が週1回の摂食機能療法を半年以上試行する。摂食機能療法の内容は深呼吸、頸部・肩部(肩関節・肩甲帯)の関節可動域訓練、口唇・頰の筋訓練、舌抵抗訓練、口腔清掃とした。口・唇・頰の筋訓練は、対象者が能動的に行える状態であれば能動的に、行えなければ受動的に、バンゲード法に基づいて行った。 その間、初回から1カ月ごとに超音波診断装置による測定と客観的嚥下機能測定として、摂食嚥下機能スクリーング法としてRSST、MWSTと最大舌圧測定を用いる。 また一か月毎に計測を行うため、リハビリテーション効果の客観的計測をおこなっていく。各々データ収集を行うので、キャルブレーションをしっかりと行い、かつデータが計画的に収集できない場合の事態を防ぐ。また超音波診断装置のデータはデジタル保存で、かつあとからMカーソルの設定ができるため、万が一分析方法のミス等があっても、修正が可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画通り使用したが、次年度英語翻訳等の使用を考えている。
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