研究課題
舌痛症は、舌にぴりぴりとした疼痛を主徴とする原因不明の慢性疼痛疾患である。本疾患は口腔に器質的疾患が認めらないにもかかわらず口腔(舌、口蓋、口唇など)に灼熱感を伴った慢性疼痛を主症状とし、慢性的な経過を取り患者のQOLを低下させている。近年、舌痛症は疼痛に対する認知情動系が疼痛の認知機構を修飾し疼痛の認知に影響を与え、疼痛の強度が上昇するという病態の形成に関わっていると報告されている。そこで脳機能画像法(fMRI)の一種であるdefault mode network(DMN) の解析を応用し、島皮質や頭頂連合野といった痛み関連領域の果たす役割に着目して舌痛症の患者が感じている疼痛の脳内処理過程を解明する事を目的とした。研究期間内で、舌痛症患者26名、健常被験者28名をリクルートし、日本大学医学部放射線科にてMRI撮像を行った。得られた画像データから、SPM12とCONNにより舌痛症患者と被験者の脳活動の比較を行った。BMS患者は、島皮質、扁桃体、海馬、海馬傍回、帯状皮質といった疼痛に関連する脳部位に萎縮が見られた。さらにこれら部位のネットワークをconnにて解析した結果、帯状皮質と島皮質、帯状皮質と紡錘状回、後帯状皮質と紡錘状回、後帯状皮質と淡蒼球、補足運動野と視床のネットワークによる神経回路的な結びつきが減少した。また、運動野とサリエンスネットワークとの結びつきも減少した。これらの結果から、舌痛症患者は疼痛修飾に関連する経路や感覚・認知に関する部位およびネットワークに変化が起こり、慢性的な疼痛発現が生じていると考えられる。
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Journal of Oral Rehabilitation
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https://doi.org/10.1111/joor.12795
Journal of Oral Sciences