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2016 年度 実施状況報告書

フレイルの評価に活用できる携帯型NIRSを用いた口腔機能アセスメント指標の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K11899
研究機関日本歯科大学

研究代表者

小松崎 明  日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (60256980)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードフレイル / NIRS(近赤外分光分析法) / 赤外線サーモグラフィー / サルコペニア / 介護予防 / 機能訓練 / 顎機能評価
研究実績の概要

フレイルの提唱者であるFriedらは、加齢性筋肉減少症(サルコペニア:Sarcopenia)を含むフレイルサイクルを発生モデルとして提唱している。近年、フレイルの予防に注目が集まり、筋委縮発現機序の解明が進められているが、本研究ではサルコペニアの予防や進行抑制に寄与するとされるレジスタンストレーニング等に必要な要件を検討している。申請者らが実施した先行研究を背景に、サルコペニアとフレイルとの関係性を考察すると、加齢で咀嚼関連の筋肉量が低下すると、低栄養や易疲労が生じ社会参加までが障害されると推察され、これら過程のステップごとに、廃用の前兆的変化としての血流低下が生じると推察できる。
この兆候を試作した熱画像ターゲティングシステム(冷却負荷法による赤外線サーモグラフィー熱画像から、頬部の温度上昇中心を捕捉し、深部の血流動態を携帯型近赤外分光分析法(NIRS)で詳細把握する測定システム)から得たデータから、実際に筋肉系のモーターユニット機能を把握した。サーモグラフィー熱画像の測定結果からは、咬筋相当部の温度変化中心から温度変化辺縁までの平均距離は3~4cmとなっており、NIRSによるOxy-Hb、Total-Hbの改善効果を全測定対象者で把握することができた。
これら結果から、サルコペニアの予防手段として提唱されてきた有酸素運動から、ADL低下者においては筋マッサージ法に、予防対策の主体をシフトする事を提案する。頬部のマッサージは、唾液分泌向上だけでなく、Oxidativeな筋繊維に対する賦活効果が期待できる。ミクロ的なミトコンドリア生合成の向上等までは把握困難としても、毛細血管の血流改善はNIRSで把握できることから、マッサージのような他律的な筋運動の継続によっても、筋サテライト細胞の活性化・増加が実現できれば、フレイルの予防にも寄与すると推察する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本申請で使用している携帯型近赤外分光分析法(NIRS)は、開発業者に依頼し研究用にカスタマイズを実施した独自の4チャンネル化測定システムである。このシステムドライバを搭載したPCのSSDに不具合が発生し、測定および解析が不可能となった。このため、緊急的にデータの回復と原因究明、修正ドライバの供用を開発業者に依頼し、更新システムが稼働するまでに約5か月を要した。
この測定機材更新により、研究計画に遅延が生じた(システム修復中は既存データの解析と文献的検証を主体に研究を遂行)。また、新規に活用を開始した対照測定用の冶具の慣熟にも時間を要したため、システム更新後の測定計画は全般にやや遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

申請者は、口腔周囲の筋肉のうち最も咀嚼に関連する咬筋に着目し、フレイルの前兆的変化を含めて把握可能な、予知性の高い機能賦活評価指標が必要と考えている。これは短期的には介護予防など筋肉の廃用変化等への対策に寄与し、長期的には要介護者の機能訓練の評価に寄与すると考えられる。
また、咀嚼運動を中心とした顎口腔機能の定量的評価を簡便に可能とするためにも、近赤外分光法(NIRS)による新たな機能賦活指標を開発することで、新たな機能的健康指標としての要件も満たすことが可能と考えられる。
当面の目標としては、熱画像変化によるターゲティングの精度を向上させることが重要と考えられるため、本年度は温度変化域周辺部に測定点を増やし、温度変化と深部血流量との関連性も検証したい。
これらの点を中心に、深部血流動態の変化を引き続き捕捉し、頬部マッサージや機能訓練の効果確認等が可能かを検証し、より効果的な機能訓練法の開発など、発展性のある賦活指標の開発に向けた基礎資料の収集を実施する。
本研究から得られた基礎資料については、解析が終了したものから日本口腔衛生学会等の関連学会に報告したい。

次年度使用額が生じた理由

測定システムのセンサードライバを搭載したPCのSSDに不具合が発生し、測定および解析が一時不能となった。このため、緊急的にデータの回復と原因究明、修正ドライバの供用を含むシステムの更新を開発業者に依頼し、システムが回復するまでに約5か月を要した。この測定計画の遅延のため次年度使用額が生じた。
また、更新時に合わせて活用を開始した対照点測定用のヘッドマウント型冶具の慣熟にも時間を要したため、研究計画に全般的な遅れが生じたため。

次年度使用額の使用計画

携帯型近赤外分光分析法(NIRS)のシステムドライバおよびソフトウェアの更新を実施し、ドライバ用PCを含む測定システムの安定性の向上を図る。研究期間も限られていることから対象者の確保と測定を急ぎ、予定の対象数を次年度中に確保する予定である。
また、追加課題として咀嚼時の頬部可動状況を評価事項に追加し、NIRSセンサーの装着範囲についても検証を実施する予定であり、これと並行して蓄積したデータの解析も実施し公表を急ぐ予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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