研究課題/領域番号 |
16K11905
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研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
泉野 裕美 梅花女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10580392)
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研究分担者 |
堀 一浩 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70379080)
福田 昌代 神戸常盤大学短期大学部, 口腔保健学科, 准教授 (80530831)
澤田 美佐緒 神戸常盤大学短期大学部, 口腔保健学科, 講師 (10580384)
畑山 千賀子 神戸常盤大学短期大学部, 口腔保健学科, 講師 (20610083)
小野 高裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30204241)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自立高齢者 / 口腔機能 / 身体機能 / 口腔機能向上プログラム / 台湾 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,①自立高齢者の舌や口唇を含む口腔機能の維持が,身体機能に与える影響を検討する.②口腔機能向上プログラム介入が,身体機能や口腔機能の維持に影響する因子を検討する.③日本と同様の検討を台湾でも行い,本邦と台湾の比較,および自立高齢者の機能低下予測モデルを構築することである. 本年度は文化や習慣の異なる台湾での初調査になるため,本格的調査を行う前に調査予行を実施した.アンケートの記入漏れや測定漏れ,中国語と台湾語での通訳が必要であることなど,様々な問題点が明確となり,記録票のチェック体制の強化や通訳の増員,測定方法を図で示したパウチを配布するなどの対応を行いながら,データ収集を実施した. 調査対象者は,海外連携協力者である台中YMCAが主催する介護予防教室に参加している自立高齢者の中から,研究への参加同意の得られた79名(男性19名,女性60名,平均年齢77.5±7.9歳)とした.調査項目は,体力測定として開眼片足立ち,長座体位前屈,ファンクショナルリーチ,タイムドアップ&ゴー,握力,30秒椅子立ち上がりのほか体組成(身長,体重,BMI,血圧,骨密度)を測定し,口腔機能として最大舌圧,最大口唇圧,反復唾液嚥下テスト,舌の左右運動,オーラルディアドコキネシス,咀嚼能力を測定し,残存歯の確認した.また,測定会開催直前に自己記入式アンケート(現病歴,服薬,運動・喫煙・飲酒習慣,歯磨き回数,腰痛,睡眠,食事時のむせや痰の絡みの有無,食事などの生活習慣について15項目)と口腔関連QOL(GOHAI)中国語版を実施した.さらに,対象者に1日1回「健口プログラム」(舌の清掃,30秒間のブクブクうがい,舌による頬の押し出し)の実施を依頼し,11週間後に介入前と同様の調査項目を測定した. 現在,得られたデータの分析を行っているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の調査で,日本と同様の体力と口腔機能の実測が可能であることが明らかとなり,信頼性の高い測定値を台湾でも得られることが示された.次年度以降の調査対象者のリクルートも,台中市および台北市に拡大を予定しており順調に進んでいる.調査対象者の増加に伴い,専門的知識を十分に持ち,短時間でより精度の高い測定が可能な測定者の確保が必要となるが,来年度秋以降に台中YMCA認定の介護予防指導者を養成する予定であり,台湾政府の承認および協力を得ている. また,調査対象者である台湾在住自立高齢者は非常に親日的で,研究への参加協力も快諾いただいている.測定会終了後には研究代表者が訪台し,介入前後の測定結果説明および舌や口腔周囲筋を含めた口腔機能維持向上の必要性,健口体操の実施方法などのフォローアップ講座を開催するなど,信頼関係の構築に努めている.
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今後の研究の推進方策 |
台中・台北市内在住の自立高齢者を対象に,平成28年度と同様に口腔機能と体力の測定,口腔関連QOL(GOHAI)中国語版および生活習慣についてのアンケート調査を継続して実施する予定である.測定会開催時期や対象地域の選定については,海外連携協力者である台中および台北YMCAと協議のうえ決定する. 平成28年度の調査で取得したデータについては,現在,分析を行っているところである.今後はさらにデータを取得して,目的変数を身体機能,口腔機能・体組成・アンケート調査結果を説明変数として多変量解析を行い,身体機能に及ぼす影響を検討する.また,これまで日本で同様の調査で得られたデータとの比較検討を行うとともに,縦断評価から口腔機能および身体機能維持に関する予測モデルを製作し,国内外の学会への発表・論文投稿によりその成果を広く社会・国民へ発信する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
格安航空券などを使用し,消耗品の購入についても値段交渉を行い,当初予算よりも使用額を抑えることができたため.
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次年度使用額の使用計画 |
測定会場の追加により対象者の増加が見込まれる.そのため,口腔機能測定機器等の消耗品や測定人員確保のための旅費,人件費,謝金の計上が当初の予定を上回る可能性がある.また,昨年度同様の台湾への海外旅費,詳細なデータ分析のための統計解析ソフトの購入,情報収集を目的として学会への参加を予定している.
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