パイロットスタディとして実施していた動養セミナー参加者のセミナー前後の姿勢の変化、自覚症状の変化、日常生活での調整方法を質問用紙で調査した。セミナーでの姿勢保健均整師による参加者への支援過程を参加観察し素材化して、支援の意味を分析した。セミナー参加者は、400床以上の大学病院で交代制勤務に従事し、頭痛、肩こり、首の痛み、腰痛、冷え、だるさ、便秘などの不調を自覚している女性看護師5名であった。年代は30代から50代であった。 参加者は、自身の姿勢の歪みがあることの自覚がない状態であった。全身の姿勢を前後・横から撮影することで、左右の歪み、前傾・後傾の歪みを自覚した。また、静診および動診での姿勢の歪みを次の方法で観察した。静診:肩幅に足を開き、目を閉じ、1分間立位をとる。左右・前後の体の揺れを感じ取る。動診:目を閉じた状態でその場足踏みを50回実施し、目を開けたときに最初の位置との位置の違いを観察する。動診及び静診ともに閉眼するのは、視覚からの情報によって姿勢を調整する刺激をなくすためである。 実施した姿勢調整の動きは、①足の指の付け根を回す。その際、頭痛や首の痛みがある参加者は、親指の付け根を頭痛や首の痛みが和らぐまで回す。②足の指の腹をもみほぐし、その際硬くなっている指の腹を観察する。硬くなっている指の腹は硬さが和らぐまでもみほぐす。③鼠蹊部から足先に向かってさする④均整棒に乗り、土踏まずをほぐす。次に足裏の硬い部位を自身でみつけ、その部位を中心に自身の体重を使って、硬さを軽減する。腰痛がある参加者は足の小指側の側面を片足ずつ均整棒にあて、痛みが和らぐ程度にほぐす。⑤仰向けに横になり、タオルを肩幅に広げて頭の上にあげてもつ。右側、左側と足首を立てて地面を押すように、タオルを持つ手は上につき上げるようにして体側を伸ばす。⑥最後に目を閉じ、深呼吸をして終了となった。
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