研究課題/領域番号 |
16K11915
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 公美子 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (30324213)
|
研究分担者 |
川上 裕子 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 特別研究員 (20612196)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 看護歴史学 / 歴史的研究 / GHQ/SCAP / 占領期 / 看護改革 |
研究実績の概要 |
第二次世界大戦後,ダグラス・マッカーサー元帥(Gen. Douglas MacArthur)率いる連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)は対日占領改革において,日本に精神革命を起こすために宗教と教育を利用した.マッカーサー元帥にとって民主主義とキリスト教への改宗は一心同体であったと言われるように,日本にキリスト教を布教することは占領改革のもう一つの目的であった.筆者らはこれまでGHQ/SCAP・公衆衛生福祉局(PHW)の看護政策の実施過程を論証してきたが,布教活動が来日の使命であったという視点からPHWの活動を解明してはいない.さらに,PHWの初代課長オルト(Grace Elizabeth Al)や二代目課長オルソン(Virginia M Ohlson),看護スタッフのマチソン(Enid Mathison)らは,所属教団は違ったが熱心なキリスト教信者であったことも周知である. そこで,研究課題は占領期における日本での布教活動もGHQ/SCAPの医療・看護改革の一部であったこと,その上で,GHQ/SCAPスタッフらがわが国の看護専門職化にどのような影響を与えたのかを考察することにある. 平成28年度は,歴史的編集法を用いて、次の史料を主に分析した。(1) 一次史料;“Weekly Bulletin Public Health and Welfare Section, GHQ, SCAP”14. October 1945-31. December 1949(PHW 05191-05189)、(2) 二次資料及び書籍他;女性新聞(YMCA)他.これらの結果を,平成29年度開催のAmerican Association for the History of Nursing(AAHN)及び日本看護歴史学会学術集会にて発表予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は,計画に沿って,既に収集した一次史料の再分析を行うとともに,それらを実証するためにGHQ/SCAPの宗教改革に関する書籍を活用した.また,新たな一次史料及び二次資料の収集を継続して行っている.平成29年度は,新たにアメリカ在住の研究者に筆者らの研究協力(専門的知識の提供,アメリカ国内の資料収集,翻訳など)を依頼する予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
毎年の研究成果を国内(日本看護歴史学会,日本看護科学学会など)や国外(American Association for the History of Nursing)で報告し,さらに研究の示唆を得る予定である.引き続き,一次史料及び書籍などの二次資料の収集,分析を進めていく.また,学会発表を経て論文作成に取り掛かる.また,占領期の宗教改革に関する研究者とのディスカッションを検討している.
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度,国際学会発表のために計上した旅費等を私費で支出したため,次年度への使用額が生じた.また,一次史料の所蔵を確認するのに時間を要し,旅費,その他(複写費,投稿料など)を使用しなかったため.
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は,平成28年度の成果発表を国内及び国外にて行う予定であり,旅費を使用させて頂く予定である.また,アメリカ在住の研究者に,資料収集や翻訳などの研究協力を求める予定である.
|