研究課題/領域番号 |
16K11919
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
石川 陽子 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (40453039)
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研究分担者 |
野村 亜由美 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (50346938)
成瀬 和子 東京医科大学, 医学部, 教授 (70307122)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 異文化看護 |
研究実績の概要 |
2019年度にJMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)認証病院8施設を対象とした調査を行い、2020年度はその分析を行った。対象者は経験3年以上の看護師で251名から回答を得た。回答者のうち、11.2%は半年以上の海外居住経験があり、11.2%は、日常会話以上の外国語を話すことができると回答していた。 異文化看護に関する学習経験は「ある」が20.7%で学習機関では基礎教育が最も多かったが、病院内外で研修を受けた者もみられた。 95%の看護師は外国人等、異文化を背景に持つ患者をケアした経験を有していた。このうち90.7%の看護師は「困難を感じた」と回答し、その内容は、言語の障壁、宗教への理解が困難、患者の生活習慣に関するもの(清潔、食事、服装、プライバシー)、母国の医療制度に対する知識が無い、患者の医療者に対するジェンダー嗜好、人種差別の訴え等幅広くみられた。 言語の障壁では、日本語も英語も話さない患者への対応が困難であること、看護師が英語でコミュニケーションを取れないこと、翻訳アプリの誤訳が多いこと、通訳が常在する施設でも24時間対応ではないこと等の課題が挙げられた。コミュニケーションが取れないことで与薬についての誤解や患者が暴力的になる等の問題が発生していた。 JMIP認証病院であっても個々の看護師の経験知は多様であり、異文化看護能力の向上には、異文化看護に関する学習機会や患者の母国の医療制度、宗教への理解を深めるための情報へのアクセスの必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に対象施設を増やし追加調査を実施する予定であったが、COVID-19の状況により対象施設から協力を得ることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
現時点においても医療機関の逼迫状況は改善していないため、追加調査を行わず現時点での調査結果を分析する方向に転換する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に対象施設を拡大し、追加調査を実施する予定であったがCOVID-19の状況により調査協力を得ることが困難となった。2021年度も同様の状況が予測されるため、次年度予算は現時点での調査結果を分析・公表するための文献の購入、翻訳費用に充てる予定である。
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