2021年度は2020年度の調査の分析を行った。都内9か所のJMIP(Japan Medical Service Association for International Patients外国人患者受入れ医療機関認証制度)認証病院に勤務する看護師251名から調査票を回収した。異文化を背景に持つ患者の担当患者数は20人以上が35.1%と最も多かったが、1~5名が22.3%、5~10名が21.5%、10-19人が16.3%と個人により差がみられた。異文化看護の学習経験のある者は20.7%であり、そのうち51.9%は看護基礎教育で、50.0%は院内または院外の継続教育で学習していた(複数回答)。 異文化を背景に持つ患者への看護として「困難を感じた」と答えた者は86.5%であり多くが多様な課題を認識していた。 具体的には、日本語または英語でのコミュニケーションがとれないこと、食事への配慮、イスラム教の理解、患者が入院規則を遵守しない、攻撃的な態度をとるといった母国とは異なる環境から来る摩擦、女性スタッフへの蔑視というジェンダー意識の違いもみられた。「人種差別を受けた」と患者から指摘された経験を持つ者もおり当惑した者もいた。日本語以外のコミュニケーションでは多くが翻訳機を使用していたが、正しく翻訳されない、緊急時に使えない等の課題がみられた。 看護師は異文化を背景に持つ患者に対して様々な配慮を行っているが、異文化に関する知識が不十分であることや、マイノリティに対しての理解や経験の不足から困難を感じそれらの対応に時間がとられることを負担に感じていた。
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