研究実績の概要 |
本年度は予備実験による実験プロトコールの確立と従来の循環測定指標との比較を目的とした実験を実施した。 【方法】加齢による毛細血管の形態異常がない20代の若年女性8名を対象者とし,冷え症状を有する群(冷え症群)と冷え症状がない群(対照群)に半数ずつ分けた。測定は,右手第4指の爪上皮部の毛細血管を毛細血管観察装置により観察し,その形態および血流状態を動画に録画した。その他の評価指標として,指尖血流量,深部温,皮膚表面温度も同時測定を行った。測定では,①足浴15分間と②足浴30分間の2条件を設定し,それぞれの条件下で,冷え性群と対照群の各測定指標を比較した。 【結果】いずれの条件でも指尖血流量,深部温,皮膚表面温度(前額部)に冷え性群と対照群での差は認められなかった。しかし,皮膚表面温度(下腿部)の変化は,対照群と比較して冷え症群の足浴直後の上昇が大きく,温かさが持続していた。毛細血管画像については画像により毛細血管腔の拡張及び血球速度の変化を認めたが,被験者の血管選択に問題が生じ,一部データで動画解析ソフトによる分析ができなかった。 【成果】所属大学における研究倫理審査委員会の承認を得て,実験を実施した(承認番号PAZ18-27)。従来の循環測定指標と毛細血管画像の比較を行う実験プロトコールを予備実験により確立し,本実験を実施した。冷え性群と対照群の変化は,皮膚表面温度(下腿部)で認められ,毛細血管画像でも確認ができた。しかし,対象者が少ないこと,また画像解析ソフトによる分析が途中であるため,追加実験により指尖血流量等の他の測定指標との比較を今後行っていくことにしている。
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