研究課題/領域番号 |
16K11932
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
松井 優子 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (00613712)
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研究分担者 |
須釜 淳子 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (00203307)
紺家 千津子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (20303282)
木下 幸子 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (50709368)
坂井 恵子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (60454229)
村山 陵子 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10279854)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 抗がん剤 / 血管外漏出 / サーモグラフィー |
研究実績の概要 |
本研究は、抗がん剤の投与中に滴下部位のサーモグラフィー画像を撮影することにより血管外漏出を早期に発見し、漏出後早期に抜針するなどの対処を行うことによって、抗がん剤の漏出後に発生する皮下組織内の硬結を予防する方法を開発することを目的としている。 2016年度は、アウトカム指標を明確にすることを目指し、その初期段階として、臨床における血管外漏出の現象を明らかにすることを試みた。臨床における血管外漏出をサーモグラフィーで観察し、基礎研究において一定量を漏出させた際の画像と比較した。その結果、健常人の腕に作成した漏出モデルにおいて臨床の 血管外漏出と同様の特徴を持つサーモグラフィー画像が得られたケースは、漏出量が40ml/時で、滴下された量に比し漏出量はかなり少なかった。このことから、臨床における血管外漏出は、滴下された薬液の極一部が皮下組織内に漏出しているにすぎず、ほとんどが静脈内に注入されていることが推察された。 2017年度は、これらの結果をもとに本研究のアウトカム指標である血管外漏出による硬結を同定する指標を開発することを試みた。超音波診断装置を使用した硬結の検出方法を確立するためのプレ調査を行ったが、検出には至らなかった。 2018年度は、超音波診断装置を用いたプレ調査を行い新たなアウトカム指標を模索したが、硬結の描写には至らず、有効な指標は得られなかった。機器の精密さの問題もしくは静脈の弾力性による障害が考えられ、現時点で新たなアウトカム指標の同定には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究で血管外漏出をサーモグラフィーで描写することに成功したが、アウトカム指標が明確ではなかったため、サーモグラフィーを用いた抗がん剤の血管外漏出による硬結の予防効果の検証にあたり、アウトカム指標を同定しようと試みた。超音波診断装置を用いてプレ調査を行ったが、明確な指標にはならなかった。 さらに、この期間に、調査施設において改築工事が開始されたことにより、調査が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度には、本研究における明確な評価指標を明確にすることを試みたが、成果が得られなかったことから、2019年度には、従来の用手的な評価指標に立ち戻り、評価を行う予定である。 現在、これまでの調査により得られた血管外漏出時の皮下組織の特徴や、皮膚障害が悪化しやすい状況などの情報を組み込んで、新たな調査プロトコールを作成中であり、これにより、臨床現場に即した硬結予防プログラムの作成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は、調査施設2施設で、サーモグラフィーによる血管外漏出の早期発見を行い、皮下組織内の硬結の発生率の比較調査を行う。これにより、サーモグラフィーによる皮膚障害の予防効果を検証する。 助成金は、サーモグラフィー70万円、成果報告旅費10万円、翻訳費40万円、文献10万円にあてる。
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