研究課題/領域番号 |
16K11937
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
山口 豪 四国大学, 看護学部, 准教授 (60532182)
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研究分担者 |
奥田 泰子 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (30330773)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 入浴 / 心機能 / 日常生活行動 / 疲労度 / 心臓 / 虚血 / 入浴可否判断 |
研究実績の概要 |
入浴は日本人にとって最も身近な日常生活行動であるが、入浴中の死亡(心肺停止状態)は大半が高齢者である。この入浴事故の発生件数や死亡者数の増加は、高齢社会である日本では今後も増加することが予想され、その対策が必要である。本研究は、その負荷と身体に及ぼす影響・変化を明らかにし、最終的には身体的な指標から入浴可否判断をするための指標・尺度づくりを試みようという研究である。 平成29年度は健常成人を対象に入浴負荷前後での身体的な変化を検討した。これまで、自身の経験でも入浴後は疲れを感じることがあったり、高齢者を中心に入浴後の疲労感の声が聞かれていたため、VASスケールを用いて自覚的疲労度の解析も加えて行った。また、入浴事故は不明な点が多いが、おそらく何らかの原因で虚血が生じているのではないかと考えられる。現状では心疾患をもった対象者で研究を行う段階ではなく、動物で虚血を作成して動物モデルで何らかの検討ができないか、予備的かつ探索的に実験を行った。 入浴の実験では、10分間の入浴に対して出浴直前に最も血圧が下がる一方で、代償的に心拍数が上がっており、ストレスの指標としての唾液アミラーゼが最も低かったが、自覚的疲労度は最も高かった。体温や鼓膜温などには大きな変化は見られなかった。 動物実験では虚血が急性的にも慢性的にも心電図に反映され、組織学的に炎症の広がり方が薬物などによって異なることがわかった。この研究結果についてはコ・メディカル形態機能学会、およびAsia Pacific Heart Rhythm Societyで学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常成人を対象とした実験研究では血圧や心拍数などは、ある程度例数も得られたが、心エコーは被験者の性別の関係で例数があまり得られていない。現在はそれらのデータの解析中である。また、被験者自体の獲得も思うようにはいっていないので、今後検討を要する。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでに得たデータを解析するとともに、心エコーまで測定可能な新たな被験者の獲得を目指す。 特に、被験者は心エコーに対して馴染みが薄いため、データ解析を進めてその結果を示し、侵襲もほとんどないことなどを説明することで、より多くの対象者から理解を得られるようにする。 また、動物実験の結果をそのまま人のデータとして解釈するのは困難であるが、人を対象とした実験では得られないデータの信頼性があり、条件を一定にすることで、あるシステムにおいては、人では得られないような、より詳細かつ貴重なデータが得られる。そのため、動物実験も併せて考えていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品等はこれまでにある物品である程度賄えるため、新たに購入する必要がなかった。また、研究の都合やデータの関係上、学会発表や出張にあまり行けなかったため未使用額が生じた。 平成30年度は物品としては心拍変動解析の解析用のソフトを購入し、消耗品として唾液アミラーゼモニターのチップなどを購入することを計画している。また、心エコーの手技を向上させるために、研修に参加の予定であり、その研修費等に充てる予定である。
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