研究課題/領域番号 |
16K11944
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
南 妙子 香川大学, 医学部, 准教授 (60229763)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | メタ認知 / 看護学生 / 安全学習 / 尺度開発 |
研究実績の概要 |
看護基礎教育において、看護学生が自身の行動や能力を把握し、自己の行動をコントロールしていくメタ認知能力を育成し、学生の事故防止能力や安全能力を高めていくことは重要である。本研究は、看護学生の安全学習におけるメタ認知測定尺度を開発することを目的としている。 これまでの成果としては、文献検討の結果、メタ認知的知識20項目(人間の認知特性についての知識4項目、課題についての知識7項目、方略についての知識9項目)とメタ認知的活動20項目(メタ認知的モニタリング10項目、メタ認知的コントロール10項目)の合計40項目で構成した質問紙を作成し、一次調査を実施した。調査協力の得られた四国内の看護系大学1校に在学中の1~3年次学生189名に質問紙(調査Ⅰ用)を配布し、調査協力を依頼した結果、123名(回収率65.1%)から回答が得られた。全ての質問項目に欠損値がなかった118名を分析対象とし、主因子法による探索的因子分析を実施した。因子数の決定は、下位尺度因子の解釈妥当性から4因子を採択した。因子負荷量が0.4に満たなかった4項目を内容吟味の上で分析から除外し、最終36項目を尺度項目として採択した。抽出された4因子は、第1因子「ケア実践モニタリング・コントロール能力」20項目(α=0.95)、第2因子「認知特性要因知識」6項目(α=0.85)、第3因子「事故防止自己点検能力」6項目(α=0.81)、第4因子「事故回避必須能力」4項目(α=0.72)と命名した。尺度全体のCronbachの信頼係数は、α=0.95であった。抽出された4因子は、第2、3、4因子はメタ認知的知識、第1因子はメタ認知的活動の理論的内容を反映していた。第1因子の項目数が多く、メタ認知的活動のモニタリングとコントロールの内容が混在する尺度項目となり、この点を踏まえた質問項目改良の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
尺度開発という研究デザインの特徴から、文献検討、概念整理、質問項目収集に十分な時間を必要とした。しかし、研究開始年からの人員不補充・異動による業務増大にて研究時間確保の困難状況があり、質問紙完成に想定以上の時間を要することとなった。加えて、所属機関の倫理審査受審から承認までにも想定以上の時間を要したこともあり、現在までに尺度完成に至っていない。次年度は、補助事業期間延長申請により、研究継続最終年とできたことから、尺度完成に向けて、二次調査・分析を実施していく。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、一次調査の結果を踏まえ、「看護学生の安全学習メタ認知予備尺度」を完成し、基準関連妥当性を測定する外部尺度の再検討後、倫理委員会での変更申請承認を経て二次調査を実施する。二次調査は、中・四国内の4年制大学(調査対象数としては4校・1200名を予定)に調査協力を依頼し、協力の得られた1~4年次大学生を対象として郵送法(30%回収率を目標)にて調査を実施する。分析は、SPSS Ver.25 for Windows を用いて、探索的因子分析を実施した後に、Amos Ver.25にて、確認的因子分析を行い、因子構造モデルの適合度を検討する。次年度は、看護学生の安全学習におけるメタ認知の構成要素の明確化と尺度の完成を目指すとともに、尺度の有用性の検証を計画したい。同時に学会・雑誌等での成果公表に向けて準備を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況が芳しくなく、予定していた二次調査に要する交通費ならびに郵送費の費用支出が遅れている。また、尺度の完成が遅れていることにより、尺度の有用性を検証するための医療安全教育視聴覚教材(DVD)の購入費の拠出、ならびに学会参加費用などの支出がなかったことにより生じている。次年度は、二次調査の実施に向けて、印刷用紙や印刷トナー、調査のための郵送費用、視聴覚教材の購入費が必要である。また、データ入力補助者の雇用費、成果発表に向けての学会参加費、旅費等が必要である。
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