看護基礎教育において、看護学生の事故防止能力を高めていくことは重要な教育課題であり、この事故防止能力には、自分自身の能力や行動を客観視できるメタ認知能力が深く関わっている。本研究は、安全学習におけるメタ認知能力を構成する要素を明らかにし、看護学生のメタ認知能力測定尺度を開発することを目的としている。 これまでの研究成果としては、メタ認知を構成する要素を抽出するために先行文献のレビューを行い、その結果から、メタ認知的知識とメタ認知的活動で構成した40項目からなる質問紙を作成した。質問紙を四国内の看護系大学に在籍中の1~3年次学生189人に配布し、無記名留置法にて回収した。6段階のリカートスケールを得点化し、SPSSにて主因子法、探索的因子分析を実施した。118人のデータを分析し、「ケア実践モニタリング・コントロール能力」、「認知特性要因知識」、「事故防止自己点検能力」、「事故回避必須能力」の4因子36項目からなる「看護学生の安全学習メタ認知尺度」を作成した。尺度全体のCronbachのα係数は0.95であり、内的整合性は保たれていると判断できた。基準関連妥当性として用いた看護学生のリスク感性尺度6因子(「安全行動遂行力」、「リスク体験活用力」、「リスク情報活用力」、「リスク回避準備力」、「リスク対応準備力」、「リスク察知観察力」)との因子相関では、「ケア実践モニタリング・コントロール能力」、「事故防止自己点検能力」、「事故回避必須能力」との間にr=0.3~0.7の有意な相関関係が認められた。 最終年度は、COVID-19による補助事業期間延長措置により、再度の研究期間延長が認められたため、尺度の完成に向けて二次調査を進める予定であったが、COVID-19対応の中での調査校の確保、倫理審査受審を計画的に進めることができず、尺度の信頼性・妥当性の確保に課題を残した。
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