研究課題/領域番号 |
16K11945
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
寺下 憲一郎 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 助教 (90584409)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 問題解決能力 / クリティカルシンキング / 課題探求 |
研究実績の概要 |
医療の高度化や看護師への社会的ニーズの多様化など大きく変化している現代社会において、学士課程での看護教育は看護に関する専門知識を深く学ぶだけではなく、様々な事象における課題発見力や問題解決能力、他者との協働実践力が必要とされており、自己理解を深めながら専門職として自発的な能力開発が求められている。 本研究は、看護学生を対象に看護師に求められる実践能力の一つである「問題解決能力」に着目し、問題解決能力の構成概念を明らかにし看護学教育における質の維持・向上を図るための指標として、客観的に評価できる尺度の開発を目的としている。 今年度は研究初年度であり、現段階で学問領域を越えた能力の面を持ちながらも必ずしも統一されたものではない問題解決能力の概念について、理論的背景を明確にするため文献検討を行った。 今年度の目標として掲げた、問題解決能力測定尺度Ver.2で得られる学生の主観による自己評価と教員側からの客観的評価とを分析することで、学生の「問題解決能力」の経年的・横断的評価と尺度活用の有用性について検証した。 また、患者の全身状態を系統的に把握し身体機能の正常・異常を判別するために用いる基本的な看護技術であり看護学生にとって必須の学習課題でもあるフィジカルアセスメントの研修に参加した。 患者の主観的情報と客観的情報について情報収集する能力、基本的知識を基礎にした批判的思考や分析を用いることが必要であり、看護学生が「課題探求力」および「問題解決能力」を必要とするフィジカルアセスメントに関する研修に参加することで、看護学生が困難に感じるアセスメントに関しての知見を獲得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在作成している問題解決能力測定尺度Ver.2は学生の主観によって導かれるものであるため、学生によって自己評価の高低差が影響し、尺度が客観性に乏しい可能性がある。そこで、信頼性・妥当性を確保するために、学生の主観による自己評価と教員側からの客観的評価とを分析することで、問題解決能力尺度の有用性・信頼性について検証を行った。しかし、調査結果を検証する段階で調査票の不備が発見され、調査結果の整合性が取れない状況になってしまったため、再度調査をやり直す必要性が発生し研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在作成している問題解決能力測定尺度Ver.2による再調査を実施し、尺度項目の客観性と妥当性の検証を行う。そのうえで、先行研究や文献から調査項目を精査し、信頼性についてCronbachのα係数を基に内的整合性を確保し、妥当性については因子分析により構成概念の妥当性を確保する。 問題解決能力測定尺度Ver.2による調査とともに「社会的問題解決尺度短縮版」(佐藤ら.2006)を用いて調査する。成人の社会的な問題解決力を測定する尺度であるため、この尺度との関連を見ることで開発した「問題解決能力測定尺度ver.2」の信頼性・妥当性を検討し、内容を精査した「問題解決能力測定尺度ver.3」を開発する。
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