研究課題
開発した「装着型産褥子宮モデル」(以下、モデル)を子宮復古の観察時に使用することにより、学生が感じた学習効果を研究した。技術を提供する時の効果は、「触診時の力加減が理解できる」、「子宮復古を観察できる」、「褥婦の反応を確認・配慮しながら観察できる」、「情報収集しながら技術が実施できる」、「判断しながら技術が実施できる」、「セルフケア能力を確認できる」、「実施した技術を振り返ることができる」であった。また、実習前の効果は、「実習への技術的・心理的準備を整えることができる」、「学生同士の練習により褥婦の気持ちが理解できる」、「子宮と恥骨の位置がイメージ・理解できる」であった。実習後の効果は、「経験不足を補うことができる」、「復習により技術を確認・獲得できる」であった。以上の結果からモデルを使用することにより、学生は褥婦の快・不快の反応を確認しながら、反応に合わせて技術を提供することが可能だと感じていた。加えて、実習前に心理的準備を整え、実習後に経験不足を補充できるとも感じていた。つまり、臨地実習で実施できる看護技術の範囲や機会が限定されている現在の看護基礎教育において、モデルを使用することは臨床実践能力を強化するための一助になるものと考える。さらに、客観的臨床能力試験(OSCE)の「子宮復古の観察」課題においても、「露出への配慮」、「下肢屈曲の説明」、「子宮体部に手を添える」、「下肢伸展の説明」、「悪露の問診」の項目がモデル使用後に有意に高い結果となった。この結果はモデルの使用が羞恥心に配慮しつつ下腹部を露出し、会話しながら観察できたことを示すものとなった。また、子宮の位置も具体的にイメージできるため、適切な部位に手を添えたことを明らかにした。つまり、モデルを活用した学習は触診する際に配慮ある技術修得を可能にすることが示唆された。
すべて 2018
すべて 学会発表 (2件)