研究課題/領域番号 |
16K11950
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
馬場 美幸 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (30616446)
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研究分担者 |
小松 万喜子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (50170163)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 看護学実習 / 看護学生 / 動機づけ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護大学生の入学時から卒業時までの臨地実習にのぞむ動機づけとその変化、臨地実習にのぞむ看護大学生の動機づけが促されたり阻害されたりする要因を明らかにすること、学生の特性、学習継続の意思と動機づけの関連を明らかにすることである。4年間の動機づけの変化の過程を明らかにし、既習の実習を土台として学習を深め、学年を重ねるごとにより高度な看護実践能力の向上を目指し発展させることができれば、卒業後の継続教育として臨床現場への適応にもつながると考える。本研究は、web調査と面接調査から構成され、同一集団に対して4年間の縦断調査を行う計画である。平成28年度は、愛知県立大学研究倫理審査委員会(28愛県大学情第6-34号)の承認を得て、1年生を対象に質問紙とweb調査を行った。3校の大学の研究協力を得て310名に調査を依頼し、web調査は85名、面接調査は40名の協力が得られた。web調査内容は、自己効力感、首尾一貫感覚等で、面接調査内容は、看護職を選択した動機、実習にのぞむ動機づけと影響要因、今後の実習への思い等であった。現在は、逐語録作成をすべて終了し、分析にとりかかっている。詳細は今後明らかにしていくが、結果の一部を紹介すると、実習で学生は、指導者のオーラが怖い、質問できる空気がなかったと、看護師の雰囲気を敏感に感じたり、記録室に入り、自分が看護師側に入ったと感じたりしていた。また、教員等の発問により、自分の視点にないことを考え意識し、目標がはっきりしたと述べた学生や、患者と関わり、患者の思いに触れて側にいたいという感情を抱き、自分の違う側面を知ったと述べた学生がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.変更点について以下に示す。 当初の計画では、平成28年度は、看護系大学1年生を対象として、7.8月頃にグループディスカッションと半構造化面接と質問紙調査を実施する予定であったが、グループディスカッションは、共通の関心や話題についての発想や考えを引き出せる一方で、個々の参加の程度に差が出る可能性があることから、個別面接と質問紙調査を行う計画に変更した。面接調査の対象者数は20名を予定していたが、4年間の縦断調査の過程で辞退がある可能性も検討し、40名に増やした。また、調査時期を再度検討し、調査時期に一貫性を持たせて、各学年の授業が終了する時期である1~3月に変更した。 2.上記の変更点を踏まえて進捗状況を以下に示す。 上記の変更点にそって研究計画を修正した後、平成28年12月に愛知県立大学研究倫理審査委員会の承認を得た。その後、5つの看護系大学に依頼し、3つの大学から研究実施の許可を得た。平成29年1月~3月に、研究者がそれぞれの大学へ出向き、学生に研究依頼書等を配布し、研究依頼をした。その結果、先に示したとおり、web調査は約85名(約27%)から回答を得た。面接調査は40名(男性2名、女性38名)に実施できた。面接時間は、1人約60分で、現在分析をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、看護系大学1年生を対象として、無記名自己記入式web調査と半構造化面接による面接調査を実施した。 平成29年度も継続して昨年度と同時期に同じ対象者(看護系大学2年生)に、調査を実施する予定である。教育機関への手続きとしては、12月ごろに、平成28年度の調査に協力が得られた教育機関に研究協力を依頼し、1~3月にかけて学生に調査を行うことの許可を得る。あわせて、許可が得られれば、研究協力依頼日の調整や面接場所の確保を依頼する研究協力者の紹介を依頼する。 対象者への手続きとしては、学生が対象であり、強制力が働かないように調査をする。研究協力者に日程の調整を依頼し、研究依頼の説明を聞くことに同意していただける学生のみに残ってもらいたいことを強調し、研究依頼書を用いて研究目的、研究の意義、研究方法、研究への参加は自由意思に基づくこと、倫理的配慮等を説明する。昨年度に引き続き、4年間の学習過程に沿って実施する調査であり、2年目の研究依頼であることを伝え、web調査と面接調査を実施するため協力を依頼したいことを説明する。その後、1~3月にかけて学生に調査を実施する。なお、web調査は予想外に回答数が少なかったため、平成28年度の調査を振り返り、調査方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の調査の物品を見込みより安く抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額は平成29年度助成金と合わせて、平成28年度の面接データのテープ起こし(40名×約60分)、平成29年度の調査のための尺度の利用手続きの費用(310名分)、調査依頼の交通費、対象者へのweb調査と面接調査の謝礼、分析や調査に必要な文具等として、使用する予定である。
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