研究課題/領域番号 |
16K11953
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
細田 泰子 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (00259194)
|
研究分担者 |
片山 由加里 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (10290222)
土肥 美子 大阪医科大学, 看護学部, 講師 (10632747)
北島 洋子 奈良学園大学, 保健医療学部, 専任講師 (90582875)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 臨床学習環境 / 教育指導者 / 支援プログラム / バウンダリーレス / 人材育成 / デザイン / プログラム評価 / 国際情報交換(アメリカ合衆国) |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護学生や新人看護職員の学びを支援する教育指導者の育成のため、組織のバウンダリー(境界)を超えてグローバルな視座から教育指導者間の新たな相互交流を起こすことにより、バウンダリーレスな臨床学習環境デザイン支援プログラムを開発することである。2017年度は、教育指導者を対象に臨床学習環境デザインに関する調査を実施した。 全国病院一覧データ(ウェルネス作成, 二次医療圏データベースシステム)から病床数200床以上の病院300施設を無作為抽出し、看護管理責任者から研究協力の同意の得られた101施設の1153名の教育指導者を対象に郵送による自記式質問紙調査(無記名)を行った。調査は2017年11月~2018年3月に実施した。調査内容は、①臨床学習環境デザインの学習ニーズと学習方法、②臨床学習環境デザインの能力開発、③指導行動の特性、④職場における他者からの支援、⑤経験学習尺度、⑥バウダリーレスな学習経験、⑦看護コンピテンシー、⑧臨床学習環境測定尺度、⑨個人属性である。尺度の使用にあたっては開発者の許諾を得た。本調査は、大阪府立大学大学院看護学研究科研究倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には、調査の目的、協力の自由意思、調査結果の公表、プライバシーの保護等を文書で説明した。調査票は664名(回収率57.6%)から回収し、有効回答数は621名(有効回答率53.9%)であった。教育指導者の臨床学習環境デザインに関する能力開発ニーズや支援等の諸要因について、統計学的分析、質的記述的分析を進めている。 文献検討では、学習環境デザイン、教育指導者育成、メタ認知と学習方略、臨床判断モデルなどに関する文献を中心に検討し、次年度に実施予定の教育指導者の支援プログラムの開発に活用可能な知見が得られた。また、米国で開発された臨床判断ルーブリックの日本語版を作成し、翻訳妥当性を検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年間の研究期間において、以下の5点: (1) 教育指導者の研修の視察及び文献検討により学習環境や教育方法の把握、(2) 教育指導者の臨床学習環境デザインに関する能力開発ニーズや支援等の諸要因の分析、(3)教育指導者育成に向けたバウンダリーレスな臨床学習環境デザイン支援プログラムの構成、(4) プログラム方針を決定し、計画(Plan)、実施・運用(Do)、点検・是正(Check)、見直し(Action)のPDCAサイクルの検討、(5) 教育指導者を対象に臨床学習環境デザイン支援プログラムを実施し、その効果について検討することを目指している。 2017年度は、教育指導者を対象に臨床学習環境デザインに関する調査を実施した。今後は、これらの結果及び臨床学習環境の概念モデルにもとづき、教育指導者の臨床学習環境デザイン支援プログラムの構成を明らかにし、さらにプログラム評価の理論と方法に則り、プログラム方針の決定とPDCAサイクルの検討を行う。教育指導者を対象に臨床学習環境デザイン支援プログラムの実施と評価を遂行し、このプログラムの効果を明確にする予定である。また、当初の計画にはなかったが、米国で開発された臨床判断ルーブリックの妥当性の検討に取り組み、教育指導者が新人看護師や学生の教育に用いることができる評価ツールの作成を目指す。 本研究は、研究概要を紹介するホームページを作成し、更新している(URL:http://www.nursing.osakafu-u.ac.jp/~hosoday/gaiyou/)。本研究は当初の計画に従い、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を達成するため、以下の推進方策を定めた。 1. 臨床学習環境デザインに関する調査で得られたデータを分析し、教育指導者の能力開発ニーズや支援等の諸要因を明かにする。この調査結果および臨床学習環境の概念モデルにもとづき、教育指導者の臨床学習環境デザイン支援プログラムを構成する。 2. プログラム評価の理論と方法に則り、プログラム方針の決定とPDCAサイクルの検討を行う。そのうえで、教育指導者を対象に臨床学習環境デザイン支援プログラムの実施と評価を遂行し、このプログラムの効果を評価する。 3. 本研究の成果を国内外の学会および専門誌への投稿、講演、教育活動を通して広く周知するとともに、ホームページを用いて社会に向けて公表する。研究プロセスにおいて、国内外の看護教育学を専門とする研究者、病院の看護管理者より随時、助言を得ることとする。 4. 教育指導者が新人看護師や学生の教育に用いることができる評価ツールを作成するため、米国で開発された臨床判断ルーブリックの日本語版の妥当性の検討に取り組む。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度の分担研究者との調査に関する会議を学術集会の会場およびインターネットを介して行うことで会議に係る経費を使わなかった。次年度使用額について、本研究の成果発表に係る旅費や学会参加費に使用する。
|