研究課題/領域番号 |
16K11958
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
石田 智恵美 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (50352349)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 知識の構造化 / 基礎看護技術 / ワークシート / 演繹的思考 / 帰納的思考 / 事例 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,看護学生が看護学実習で活用できるような知識の構造化を目指した,演習と実習を繋ぐ授業の開発である。研究は3年計画で,授業の改善を行いながらテキスト化を目指す。具体的には,基礎的な看護技術に関する講義・演習を終えた段階(3年次前期)で,条件が付加された事例に対して,看護技術を実施する演習課題を示し,最適な実施方法を思考させる。演習の中で,演繹的思考を促すために,課題解決に必要な知識の確認を行い,その後,事例の症状からそのメカニズムを考えさせるといった,帰納的な思考を行わせる展開とする。このような思考の結果を自らが確認できるように,ワークシートを作成し使用する。 ワークシートの作成は,①実習中の看護技術の実施頻度と実施する際の困難さ,具体的な不安の内容等を調査し,その結果を基に,②看護技術に関する課題を特定し,課題解決を目的とした授業を実施する。③授業中の学生の思考状態について記録物を基に分析をする。④授業で行った課題解決の際の思考と獲得された知識について,実習場面での活用状況を調査する。⑤,③および④の結果から,授業の妥当性と改善点を明らかにし,次年度の授業に反映させる。⑥,②~⑤の活動を複数年度実施する。 平成28年度の計画,①実習中の看護技術の実施頻度は,前年度の基礎看護技術の使用頻度および技術達成度のデータより,「バイタルサインの測定」,「清潔に関する援助」だった。①の結果を基に,②事例課題は「バイタルサインの測定」とし,ワークシートを作成した。③学生の思考状態については,ワークシートの記述内容を分析した。④の実習場面での活用状況については,授業を受けた学生が29年度の前期で実習を終了するので,終了後に実施予定である(計画通り)。⑤演習後,改善点を修正し29年度版を作成した。また,ワークシートの分析内容に関しては日本教育工学会で研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画通り,事例課題を,実習中に実施する頻度の高い,「バイタルサインの測定(97.2%)」と「清潔に関する援助(80.6%)」とした。実習中の実施する際の困難さ,具体的な不安については,「対象者の疾患や症状の程度で変わる」であったため,異なる年齢,疾患,症状の複数の事例を課題として配置した。ワークシートは,課題を解決するために必要な知識の確認(人体の構造や機能等のメカニズム)という演繹的思考を行わせた後,事例の症状からそのメカニズムを考えさせるといった,帰納的な思考を行わせる展開となるように作成した。また,発問・応答の形式にし,学生が問いに回答することで自らの思考を確認することができるようにワークシートを作成し,授業で使用した。ワークシートの記述内容,学生の個人ワークおよびグループワークの様子を分析し,課題内容,分量,発問・応答の適切性について評価活動を行った。その結果を日本教育工学会で発表した。ワークシートの問いの数・内容・事例課題・時間配分については変更の必要がなかった。文章表現を一部わかりやすく修正したものを,平成29年度版ワークシートとして作成した。
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今後の研究の推進方策 |
改善版のワークシートを使って,平成29年度の授業を行いその評価をする。改善点があれば修正して,30年度版のワークシートを作成する。また,前年度の授業を受けた看護学生が4年生になる。すべての実習を終えた時期に,授業で思考した事柄の,実習中の活用状況と,実習において困難を感じた事柄を調査する。
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