本研究の目的は、小規模離島で活躍する高度実践看護師のケアとキュアを融合した実習プログラムを構築することである。具体的目的は、1)専門看護師を対象にシャドウイングと聞き取りから、ケアとキュアを融合した看護実践の思考プロセスを見いだし、2)その思考プロセスをつかいながら小規模離島の看護実践を具現化するための実習プログラムを作成し、島嶼保健看護領域の大学院生に実施・評価し、3)実習プログラムの内容を洗練してプログラムを提案することである。慢性疾患看護専門看護師1名、がん看護専門看護師1名、ナースプラクティショナー1名に高度実践看護師の看護実践を参与観察し、その後、インタビュー調査を行い、思考プロセスについて分析を進めた。分析は、まず、観察した看護実践の場面について、高度実践看護師が考えたことをインタビューで聴き取り、その逐語録から分析素材を作成した。次に、看護実践で局面が変わったと思われる場面ごとに区切り、その場面ごとの思考をキーセンテンスとして取り出し、時の流れとともに並べた。そして、キーセンテンスから、思考したことをもっとも表している言葉の断片を抜き出し、ラベルとした。そのラベルとつなぎ合わせ、高度実践看護師の思考のプロセスは、つまり、どのようなプロセスと言えるか意味を取りだした。次に、高度実践看護師3名の分析結果を統合し、取り出したラベルを意味内容の類似するまとまりに分類し、カテゴリー名をつけた。結果として、高度実践看護師は「看護の対象者がよりよく生活できることをめざず」、「対象者の生活背景をとらえる」、「体内の内部環境を描く」、「先をみすえてかかわる」、「生活のなかで治療を継続する方法をさぐる」であった。この結果から、高度実践看護師の思考プロセスは、対象者が自らの力でその人らしく生活できるよう、医療的な知識や技術を使いながら、個別の生活を支援プロセスであるといえる。
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