研究課題/領域番号 |
16K11960
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研究機関 | 足利工業大学 |
研究代表者 |
川島 美佐子 足利工業大学, 看護学部, 准教授 (80412972)
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研究分担者 |
岡 美智代 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (10312729)
上星 浩子 群馬パース大学, 保健科学部, 教授 (20389745)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 尺度開発 / アセスメント / 臨床看護師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、妥当性・信頼性を担保した看護アセスメント能力の尺度開発である。看護アセスメントとは、患者の現状を把握し、あるべき状態と照らし合わせ分析・判断するプロセスであり、看護実践の良否を握る重要な役割を果たす。看護アセスメントは、看護教育・看護実践で広く用いられてきた概念であるが、その捉え方は様々である。したがって,看護アセスメントという概念を測定可能な現象や認識として明らかにする必要がある。 看護師研修制度は努力義務化され、医療機関の規模にかかわらず実施している。しかし研修における学習内容は臨床実践能力だけに特化し、看護師のアセスメント能力については言及していない。また技術の到達目標については示されているものの学習者である看護師の学習成果は明らかになっていない。つまり、研修の義務化を制度化しても、その評価方法は研修の実施者に委ねられている。制度のout comeが明確でないため評価システムが曖昧である。したがって、信頼性・妥当性のある学習成果を評価できる測定用具の開発は急務である。 本尺度は、臨床看護師が、自らの看護実践のなかで自己を評価できる特定の領域に特化しない汎用性のある尺度を目指している。看護師は、看護実践のなかで考えながら実践している。その「考えながら」を測定可能にすることで,看護継続教育の演繹的検証を可能にする。 本研究の具体的計画は【第一段階】①測定する測定用具としての構成概念を解明する。【第二段階】②質問項目の作成と尺度化を行う。③専門家より指摘を受け予備調査版となる尺度を作成し、パイロットスタディを行う。④本調査版となる尺度を構成する。【第三段階】⑤本調査に基づき、本調査版尺度の信頼性・妥当性を検証する。⑥看護師継続教育における本尺度の活用可能性の検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【第1段階】Rodgersの概念分析手法により、国内文献52件をレビューした。概念の構成要素、属性5項目、先行要件1項目、帰結2項目が明らかになった。関連概念との比較や学問分野の異なる概念との比較も行った。概念分析については、論文作成の途中段階である。並行して、臨床看護師の看護アセスメント能力についてインタビューを行い、質的帰納的に分析を行っている。研究者間で、研究手法の再考を行い、インタビューガイドを決定した。研究代表者の所属機関の倫理審査委員会の承認を得た。本研究の研究対象者である臨床看護師のサンプリングは、まず研究対象施設を便宜的に抽出するが、地域や施設を複数選定した。研究対象施設における倫理審査委員会または準じる許諾を得て、施設の看護部長等に研究対象者の選定を依頼した。そのため調査開始まで時間を要した。インタビューガイドに基づき、半構造化面接手法により3名の調査を実施した。逐語録を作成・分析をすすめているが、必要研究対象数の確保には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象施設の研究承認は得ているので、順次インタビューを実施する予定である。繰越金は、研究対象者数の確保のため、残りのインタビュー調査に係わる旅費、研究補助者への謝金等に使用する予定である。平成29年度は【第2段階】を計画通り実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属機関の倫理審査委員会の承認を得たが,本研究のサンプリングは、研究対象施設は、複数地域・複数施設を選定した。そのため、研究対象施設ごとに倫理審査委員会またはそれに準じる承認を得る必要があり、調査開始まで時間を要した。そのため旅費および研究協力者への謝礼の支出が生じなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに研究対象施設の研究承認は得ているので、平成29年度7月までには,順次インタビューを実施し,必要な相当数の研究データを収集できる予定である。
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