研究第1段階 文献レビューによる概念分析の結果,看護アセスメント能力の定義を明確にし,概念の構造図を導いた。看護アセスメントは,対人援助過程を基盤とした能力を活かし,患者に向き合い,患者の認識や期待といった反応を確認する実践と知的作業の連鎖が必要であるとの示唆を得た。結果を学会誌に投稿し採択された。 研究第2段階 臨床看護師10名へのインタビュー調査を行った。研究対象データは272記録単位であり,看護師が語った看護アセスメント能力に関する意味内容の類似性に基づきサブカテゴリ化、さらに抽象度を高めカテゴリ化した。妥当性・信頼性の確保のためスーパーバイズを受けた。さらに臨床経験をもつ看護教育者3名によるサブカテゴリ一致率をスコットの式に基づき算出した。カテゴリは【実践的で効果的な情報収集をする力】40記録単位(14.7%)【情報を裏づけるために確認を繰り返す力】37記録単位(13.6%),【専門的な知識を活かす力】20記録単位(7.4%)【収集した情報を吟味する力】69記録単位(25.4%)【積み重ねた経験を活かす力】30記録単位(11.1%) 【考えや判断を表現する力】10記録単位(3.7%) 【考えに基づいた実践を意図する力】33記録単位(12.1%) 【実践を振り返る力】9記録単位(3.3%)【他者に意見を求め検討する力】24記録単位(8.8%)であった。サブカテゴリ一致率は,76%,78%,89%であり信頼性を確認した。看護アセスメント能力の構成要素を抽出し,9因子31項目からなる尺度原案を作成した。臨床看護師が実践のなかで看護アセスメント能力を自ら高めるための指標となる可能性が示唆された。結果を国内学会にて発表した。
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