本研究は、高齢者施設で働く看護職を対象に、ワークエンゲイジメントに焦点を当てた教育プログラムの開発を目指すことである。 2016年度は文献検討を実施し、文献検討にて把握した現状をもとに、高齢者施設で働く看護職のワークエンゲイジメントを向上させるためのプログラム開発のためのインタビュー調査および質問紙調査の準備を行った。 2017年度は31人に実施したインタビュー調査および質問紙調査より、①健康状態が低下すると離職意向が高まる。②職務満足が低下すると離職意向が高まる。③ワークエンゲイジメントが高まると職務満足も高まる。④働く理由が高齢者看護や介護に関連するものではない場合、ワークエンゲイジメントは低下することが分かった。これらのことから、A:個々の心身の状態が安定するためのセルフケアマネジメントスキルの育成。B:自己効力感を持ち、問題解決ができるスキルの育成。の2つが必要であることが分かった。 2018年度は、2017年度の調査結果を踏まえ、施設全体でプログラムを実施することが効果的であると判断し、調査対象を介護老人保健施設で働く職員とし、施設の集合研修の中に取り入れる形で介入研究を実施した。研修は2回とし、1回目は自己のワークエンゲイジメントを知り、高める方法を実践する研修内容とし、2回目は継続して働くための意識について、グループワークを実施した。1回目と2回目の間にサンキューカードのやり取りを行った。結果、自分を見つめなおす機会となり、職場の人たちを理解する機会になったとの反応があった一方、意味がないと捉える意見もあった。実施前後についてのワークエンゲイジメントの変化に有意差は見られなかった。 2019年度には、2018年度までの成果を発表を行い、現在論文作成中である。
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