研究課題/領域番号 |
16K11969
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
脇坂 豊美 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (50315321)
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研究分担者 |
本田 由美 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 講師 (10446122)
前川 幸子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (30325724)
岡本 朋子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 講師 (60512340)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 看護技術 / 演習 / 看護技術教育 / 看護教員 / 看護学生 / 臨床の知 / 省察 |
研究実績の概要 |
本研究では、研究者である教員自身が担当する看護技術の授業実践場面の省察を記述することをとおして、看護技術教育における看護教員の教育実践の様相を明らかにすること、授業の中で生成される看護教員の臨床の知(知恵とわざ)を明らかにすることを目的とする。さらに、最終的には、本研究で取り組む省察的な教育実践を基盤にした新たな看護技術教育の方法を提示することを目指す。 H29年度は、本研究のキーワードとなる、臨床の知、実践知についての文献検討を行った。その結果、「実践知」と「臨床の知」は、ともに「科学の知」に対置された知のあり方を示しているが、「臨床の知」は、特に対象(者)との相互の関わりにおける知のあり方を示すものとして捉えられることが分かった。 また、看護技術の演習場面【第2段階】におけるデータを分析し、その結果を「看護教員が捉えた看護学生の「体位変換」の援助の特徴」として、日本教師学学会 第18回大会で発表した。概要は次のとおりである。研究目的は、看護教員が捉えた看護学生が初めて学ぶ「体位変換」の援助の特徴を明らかにすることである。看護技術の演習における体位変換の援助場面をVTRに撮影し、音声データから逐語録を作成するとともに映像を確認しながら学生の動きを記述し、質的記述的に分析した。学生が初めて学ぶ「体位変換」の援助は、<患者への関わり方は一方向的>であり、<自分の身体をまだ上手く使えない>という特徴があった。しかし、<行為を意識化し、原則を守ろうとする><相手や周囲の状況を感じて立ち止まり、援助を改善しようとする>様子も見られた。このように、一方向的な実践の中に双方向的な志向が垣間見えるという特徴があった。ここには、<相手の存在や状況に気づいていく>という学生の経験が関与していたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H28年度の授業の進行途中で倫理審査の承認を得たため、H28年度は【第1段階】【第2段階】のデータをとることができなかった。そのため、授業後に当たる【第3段階】のデータ収集および分析を行った。H29年度は、H28年度に予定していた授業場面【第1段階】【第2段階】のデータ収集および分析を行ったが、当初の計画からは遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は、以下の計画で研究を進める。 1)データ収集:H29年度の分析によって明らかになった課題を改善しながら6月~9月【第1段階】~【第4段階】のデータ収集を追加する。 2)データの分析:7月~12月 1~2カ月に1回検討会を開催する。 3)成果発表:3月 明らかになった成果を国内の学会で発表する。 4)論文作成:これまでの研究発表の内容をもとに論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)収集したデータ(VTR撮影した動画、ICレコーダに録音したデータ)の整理が予定より遅れている。そのため、H29年度に使用予定であったトランスクリプトに係る謝金の使用額が少なかったことにより、次年度使用額が生じた。
(使用計画)次年度使用額は、当初の計画どおり、1.データ整理に係る謝金、1.データのトランスクリプトの謝金として使用する予定である。
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