研究課題/領域番号 |
16K11980
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
漆坂 真弓 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (70326304)
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研究分担者 |
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70455731)
野戸 結花 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (80250629)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 緊急被ばく医療 / コア・コンピテンシー / 原子力災害 |
研究実績の概要 |
緊急被ばく医療を担う看護師に必要とされるコア・コンピテンシーについて、日本国内の文献サイト医学中央雑誌を活用し文献検討を行った。「緊急被ばく医療」をキーワードとし、対象を「ヒト」に限定し検索した。結果、ヒットした文献251件のうち、本文、抄録内容から、細胞・生物影響、薬剤の体内動態、検査、線量評価、熱傷に関する文献を除いた178件を分析対象とした。そのうち、看護論文は20件であった。 福島第一原子力発電所事故は地震・津波の大規模な複合災害であった。看護職者は、これまで受けてきた緊急被ばく医療の教育では対応ができない事態に直面することになった。災害による多数の傷病者への対応が必要となった。また、放射線による汚染・被ばくを伴う傷病者以外の、放射線による汚染・被ばくを懸念する地域住民も緊急被ばく医療の対象者となった。病院内の医療スタッフと連携するだけではなく、消防や警察、自治体、保健施設などの他機関との連携や連絡調整も必要となった。医療活動を行う場所が、自施設の医療施設だけではなく、事故現場に赴き、各地から支援に来ている医療スタッフと協力、連携していくことも求められた。 福島第一原子力発電所事故では、緊急被ばく医療のほかに、救急医療、災害医療で求められる役割が看護職者に期待されたといえる。生命優先、最大多数の最大幸福の基本理念の基、多数の傷病者の中から最も医療を必要とする人を判断する力、小児や妊婦、高齢者などへの配慮、協働・連携のために他機関・他職種とのチームビルディングを行うこと、他機関・他職者と共通で使用する言語の理解が求められると考察する。緊急被ばく医療に関しては、放射線による汚染・被ばくをともなう人々あるいは懸念する地域住民への精神的援助などの対応、放射線による汚染・被ばくを心配する医療職者への精神的援助などの対応が期待される役割と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内文献の検討および投稿に時間を要し、課題遂行の遅れの原因となった。しかしながら、文献検討の結果、緊急被ばく医療を担う看護師の役割について論じられている論文が極めて少なく、まだ十分に議論、検討されていないことが分かった。国内文献検討の結果を踏まえ、国外文献の検討、有識者への面接調査を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、緊急被ばく医療を担う看護師に必要なコア・コンピテンシーについて海外文献の検討を行う。国内の有識者に研究協力を依頼し、緊急被ばく医療を担う看護師のコア・コンピテンシーについて面接調査を行う。文献検討および面接調査結果より、緊急被ばく医療を担う看護師に必要なコア・コンピテンシーを抽出する。抽出したコア・コンピテンシーについて、被ばく医療の拠点病院、協力機関を中心に質問紙調査を行う。内容は、①緊急被ばく医療を担う看護師に必要な知識、技術、態度、倫理的判断等、②看護師に期待し求める役割である。面接調査及び質問紙調査の結果を踏まえ、緊急被ばく医療を担う看護師の役割及びその役割を遂行するために必要な実践能力について明確にし、さらに、職種ごとに期待する、また管理職が期待する、緊急被ばく医療を担う看護師に必要な役割及び実践能力について明らかにする。それぞれの職種、管理職の視点の類似点・相違点を分析し、有識者の意見から抽出された結果を踏まえ、コア・コンピテンシーを明らかにする。以上の結果を基盤とし、緊急被ばく医療体制の中で医療施設の役割機能の相違によって期待される、看護師に必要な役割及び実践能力を明らかにし、コア・コンピテンシーモデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の支出は、文献検討を行うための文献取り寄せおよび書籍購入、投稿準備(ネイティブチェック)の費用、学会発表の旅費等の支出が主であった。有識者への面接調査、全国的な質問紙調査などの計画が遅れたために、予算を使用することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
外国文献の検討、有識者への面接調査、全国的な質問紙調査、成果報告を平成29年度の主な課題としている。文献取り寄せ、データ整理の謝金、面接調査用の旅費、質問紙調査にかかる郵送費、成果報告の参加費及び旅費、論文投稿にかかる支出(投稿料、ネイティブチェック)などに支出する予定である。
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