研究課題/領域番号 |
16K11984
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
酒井 明子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30303366)
|
研究分担者 |
繁田 里美 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (20446165)
磯見 智恵 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40334841)
月田 佳寿美 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (50303368)
|
研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
キーワード | 災害 / 復興期 / 被災者 / 心理 |
研究実績の概要 |
本研究は、国内外における災害初期から復興期を見通した実際的で有効な他職種連携による心理的支援体制を構築することを目的としている。東日本大震災発生から5年間被災地域および被災住民と現地で協働的実践活動を継続しながら被災者の心理的変化の特徴と要因を検証してきた研究成果を更に継続発展させ、平成29年度は、災害発生後6年目の被災者の心理的変化を被災地域および被災住民と現地で協働的実践活動を継続しながら分析した。災害発生直後の被害の程度や災害発生時に抱いた無力感の継続や災害発生後の長期に渡る生活上のストレスによる心身への影響、人間関係(家族関係)、経済的問題などの問題は、災害発生4年~5年後で安定に向かう傾向がみられた。1年目は、家族や自宅を失ったことの喪失感が強かったが2~3年目で災害発生時の状況を客観的に語る様になり4~5年目には受容傾向がみられた。6年目は、防潮堤整備、土地のかさ上げによる市街地再生、災害復興公営住宅整備、防災集団移転促進などのハード面、コミュニティの再生と新たな形成生活の再構築、保健・医療・介護・福祉多職種連携、健康増進・介護予防、地域ケア会議などのソフト面の充実と共に心理面の安定がみられた。被災地域住民と協働した他職種連携による心理的支援体制を構築には、復興のあゆみを把握しながら、検討することが重要であることが示唆された。国内外で報告されてきた心理的変化に関する縦断的な研究は、そのほとんどが災害直後から5年後までであるため、今後、予測されている大規模災害に対応するためにも、今後は、更に長期的にどのような影響があり、それがどの程度持続するのかという長期的な時間的推移の解明が課題となる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、災害発生直後から長期的に被災者の心理的変化を調査し、復興期を見通した実践的で有効な心理的支援体制を構築することが目的である。6年目の心理的変化に対する面接調査は実施し分析を行ったが、心理的支援体制に対する研修企画は実施できなかった。実施できなかった理由は研究代表者の体調不良である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、災害発生直後から長期的に被災者の心理的変化を調査し、復興期を見通した実践的で有効な心理的支援体制を構築することが目的である。国内外で報告されてきた心理的変化に関する縦断的な研究は、そのほとんどが災害直後から5年後までであるため、今後、予測されている大規模災害に対応するためにも、更に長期的にどのような影響があり、それがどの程度持続するのかという長期的な時間的推移の解明が課題となる。 今後は、東日本大震災発生7年目の心理的変化を調査し、7年間の心理的変化を時間論をもとに学問的、総合的、多角的に分析する。更に、被災地住民や災害関連団体と心理的支援体制に対する研修会を行い、実践的な介入方法を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
病気療養のため研究継続困難状況となった。平成30年度は、調査の継続および研修を企画実施する。
|