研究課題/領域番号 |
16K11985
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
江守 直美 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 看護師 (50574894)
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研究分担者 |
村田 美穂 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 看護師 (60771649)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | PNS / 患者満足度 / 職務満足度 / 看護提供方式 |
研究実績の概要 |
今年度は、PNS導入病院の調査を行い、過去に同様の調査を行った1施設について、PNS導入後の、経年時的な患者満足度、看護師の職務満足度の変化を分析した。桜井らの患者満足度尺度と、PNS関連の『担当者が2人いることで』「迅速な対応」「頻回の訪室」等11項目を調査し、4段階で回答を得た。患者満足度尺度の各領域得点に影響するPNS関連項目を明らかにするため、患者満足度と各変数の相関係数を算出し、有意差のある変数を独立変数とし、重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。PNS導入後の患者満足度は「看護師間の伝達」以外は約90%が、PNS関連項目では、導入後2、5年目共に『担当者が2人いることで』「迅速な対応」「2人で薬の確認」「2人で状態確認」で90%以上、「検温時話が弾む」「頻回の訪室」で80%以上が満足と答えた。調整済み決定係数は患者満足度7領域で0.037~0.51(全領域p<0.001)の幅があった。 看護師の職務満足度はStamps―尾崎翻訳修正版尺度を使用し、7構成要素の平均値を算出し、PNS導入1年前、導入2年目、導入6年目について一元配置分散分析を行った。平均値はPNS導入前3.41、導入2年目3.32、6年目3.49で、「医師と看護師間の関係」「看護業務」以外は導入1年前から導入2年目で低下し、導入6年目には導入1年前より上昇した。構成要素間比較では、「給与」「専門職としての自律」は、PNS導入前から導入6年目、導入2年目と6年目で有意に上昇した(P<0.05)。「職業的地位」「看護師間相互の影響」は、導入2年目と6年目で有意に上昇した(P<0.05)。「給与」は超過勤務減少に伴う給与減少後、WLB改善で労働に見合うと認識が変化し、「専門職としての自律」等は、PNSの基盤であるパートナーシップや補完体制が効果的に機能し、導入6年目の有意な満足度上昇に繋がったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画時は、H28年度にPNS以外の看護提供方式からPNSに変更予定の病院を対象にアンケート調査を行う予定であった。しかし、研究協力の内諾を得ていた固定チームナーシング、プライマリーナーシングの施設共に、既に一部PNSを取り入れていることが分かった。そのため、他の研究協力施設を探した。平成28年度は、これまでPNS導入後、経年時的に患者満足度、看護師の職務満足度調査を行っていた施設のデータ収集と分析を行い、研究計画の再検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、固定チームナーシングからPNSに変更予定の2施設の内諾を得たため、PNS導入前後、経年時的に患者満足度、看護師の職務満足度調査に実施する。また、プライマリーナーシングから、PNSに変更予定の施設がないため、固定チームナーシングからPNSへ変更した施設に絞り、対象数を増やし実施することに計画変更を行う。更に、同一施設内で部署により異なった看護提供方式を行っている場合、看護提供方式の違いによる患者満足度、看護師の職務満足度の部署間の比較を追加する。また、平成28年度の分析より、PNS導入3年後よりも、PNSが定着した6年後が看護師の職務満足度が高くなるという結果が得られたことより、多施設間でPNS導入後の経年時による看護師の職務満足度の比較を追加した計画に修正し実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画時は、H28年度にPNS以外の看護提供方式からPNSに変更予定の病院を対象にアンケート調査を行う予定であったが、既に一部PNSを取り入れていることがわかった。そのため、再度他の研究協力施設を探し、平成29年度に実施することになった。平成28年度使用分の一部を次年度に使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度実施予定の、PNS以外の看護提供方式からPNSへ変更予定の病院に、研究協力の内諾を得たため、その病院へ研究概要の説明のための旅費、並びにアンケート回収用の通信費用に使用する。
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