本研究は、新看護提供方式PNS導入病院と今後PNS導入予定の病院を対象に患者満足度と職務満足度を調査し、①PNS導入病院の実態・特徴把握、②看護提供方式間での比較、③PNS導入前後の比較を実施し、より患者・看護師双方の満足につながるPNSを検討することを目的としている。平成30年度は、看護師のオカレンスと看護師の職務満足度、患者満足度の経年時比較を行った。 看護師の職職務満足度の経年時比較では、PNS導入2年後に比べ6年後が、「全体」(p<0.05)と、「看護管理」(p<0.05)、「給与」「職業的地位」(p<0.001)、「専門職としての自立」「看護師相互の影響」(p<0.01)の5領域で高かった。更に、項目では「看護師間で患者ケアの問題を話し合う時間と機会がある」 (p<0.05) が高かった。 患者満足度とPNSの特徴の項目のPNS導入1年後と5年後7年後の経年時的比較では、PNS導入1年後より5年後が【患者への接近】の領域の項目「家族(重要他者)の絆を強める」の満足度が(p<0.05)高くなった。また、PNSの特徴の項目では「点滴や薬等の確認を2人で行い安心」「担当者2人で自分の状態を確認し安心で」が、PNS導入1年後より5年後、7年後で満足度が(p<0.05)高くなった。PNS導入1年後と5年後のインシデント比較でも、インシデント総数では21.5%、中でも新人看護師のインシデント数が46.7%、影響レベル3a以上では42.5%減少し、項目では「誤薬」「褥瘡発生率」も減少した。 以上より、看護提供方式の比較では、PNSはその定着に従いプライマリーナーシングよりも、PNSの特徴である「看護師2人で行う」ことが、看護師の職務満足度と患者満足度を高め、看護師の重大なインシデントの減少につながることが示唆された。
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