研究課題/領域番号 |
16K11989
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
貝谷 敏子 札幌市立大学, 看護学部, 准教授 (00381327)
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研究分担者 |
石澤 美保子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10458078)
福田 敬 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (40272421)
中村 恵子 札幌市立大学, 看護学部, 特任教授 (70255412)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 褥瘡 / 介護保険施設 |
研究実績の概要 |
専門性の高い看護師を含めた医療資源を地域で活用し,地域全体の療養環境の質を向上させる取り組みが検討されている.具体的な政策としては,在宅患者訪問看護指導料,在宅患者訪問褥瘡管理指導料,退院後訪問指導料の診療報酬制度が制定されている.これらの制度によって,褥瘡保有患者の在宅への移行がスムーズになると考えられたが,その実績については報告がなく実態は明らかになっていない.特にこの制度は介護保険施設を対象としていないことがあり,今回は介護保険施設での専門性の高いケアに対するニーズを把握する調査を実施した.対象者は皮膚・排泄ケア認定看護師として実施した.結果,445名より回答が得られ,回収率は36.3%であった.介護保険施設での専門的支援ニーズが高いと感じている対象者は半数いた.また褥瘡保有患者の転帰先としては,介護保険施設が1番から2番目に多いとした施設は40%であった.介護保険施設での褥瘡保有患者は多く,専門的支援が必要であることが示唆された.医療資源の活用に関しては施設対象を拡大することが褥瘡ケアの質向上につながると考えられる. 2年目に計画していた系統的文献レビューを行い,褥瘡に関しての医療費用を調査した.最終的にはPubMedで190,CINHALで88文献,医学中央雑誌で16件のヒットがあった.最初にタイトルと抄録の内容でスクリーニングを行い,最終的には68文献にハンドサーチの22件を入れて90件の論文のレビューを実施した.90件の文献はその内容から7つのカテゴリーに分けられた.介護保険施設における効率的なプロトコールの導入として考察すると,「専門的サービス導入の効果」の内容に着目した.実態調査の結果と重複するが,介護保険施設において,医療施設の専門的リソースの活用を推進できる体制を導入することがケアの質向上につながるのではないかと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に計画していた調査の前段階として計画書に記載していない調査を実施したが,その結果を踏まえて「介護保険施設における褥瘡管理の実態とケアの質調査」を今年度に実施予定にしている.計画変更に伴い2年目に計画していた,褥瘡管理におけるコストのデータベースを構築し,モデルシミュレーションを行うことは今年度中に実施する予定で,順調に計画が遂行できる予定である.
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今後の研究の推進方策 |
介護療養型医療施設・介護保健施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護老人福祉施設)において褥瘡管理の実態と褥瘡管理におけるケアの質を調査するため,アンケート調査を6-7月に実施する. 文献とアンケートによる結果を踏まえて,横断調査褥瘡管理におけるコストのデータベースを構築し,データベースを用いたモデルシミュレーションを行い,褥瘡管理体制が及ぼす経済的な影響を検討し,介護保険施設における効率性の高い褥瘡管理体制を作成する. すでに系統的な文献レビューは終了している. 最終年度は,褥瘡管理プロトコールを作成し効果を検証するパイロットスタディを実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の計画していた調査はインターネット上で実施したため,郵送の金額がかからず費用を削減できた.また介護保険施設へのアンケート調査は2年目に計画変更したため,こちらの郵送代等は2年目に発生する予定である.
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次年度使用額の使用計画 |
2年目に郵送によるアンケート調査を実施予定であり,1年目に繰り越した研究費は2年目に予定通り執行予定である.
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