研究課題/領域番号 |
16K11997
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
石田 佳代子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (90341239)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 看護学 / 医療・福祉 / 自然災害 / 看護師 / トリアージ / 遺体 / 遺族 / 連携 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、国内における災害現場でのトリアージによって、黒のトリアージ・タグを付された傷病者(以下、黒タグ者)に看護師が専任で対応するための活動モデルの実用化と普及に向けて、黒タグ者に関わる活動に必要とされる能力を養うための教育プログラムを開発することである。 本年度は、国内の災害拠点病院を訪問し、当該施設で実施された合同訓練に参加して、黒のトリアージ・エリア(以下、黒エリア)における訓練状況について把握した。また、4月に発生した熊本地震において、災害超急性期に黒エリア等で活動した看護師6名を対象とした面接調査を行い、黒エリア等での具体的な活動内容を把握し災害超急性期における黒タグ者および遺族対応に関わる基本的活動や他機関との連携体制について検討した。当該結果の概要は以下のとおりである。 災害時における活動全体の流れについては、院内では「黒エリアの立ち上げ」「プライバシーに考慮した環境づくり」「遺体の移動、搬送」「黒であることの確認と状態の観察」「遺体の整容」「死後の処置」「安置場所の確認」「遺族におけるキーパーソンの確認」「遺族への説明」「遺族の症状に対するケア」「遺族に傾聴的態度で接する」「遺族を見守る」「対面機会の設定」「書類の整理等の事務作業」「本部への報告」「葬儀社との連絡」「検死等に係る警察との連携」「遺族に代わり連絡・調整」「引継ぎ」であった。反省点として、チームとしての対応不足、連携不足の意見があった。また、全員が遺体及び遺族対応等の訓練や研修を受けることが重要と述べた。 以上より、災害超急性期における黒エリアでは看護師がキーパーソンとなり、様々な調整役を担っている現状が明らかになった。合同訓練においても類似内容の訓練が行われていたが、遺体及び遺族対応等を体験を通して身に付ける機会は少ないため、研修や訓練への積極的な参加が有効と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた内容が、期間内に滞りなく完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成28年度の調査結果をふまえて、全国的な教育ニーズを明らかにするために調査枠組みを作成し、全国の災害拠点病院を対象とした質問紙調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
専門的知識の提供を受けるための出張を3月に予定していたが、未だ実施できていないため。 3月~4月は人事異動や諸行事・休暇等によって施設管理体制が煩雑になり易い時期なので、そのような時期に依頼することは避け、次年度において早めに実施するように計画を変更した。そのため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度分の未使用額は47,710円である。これらの残額については、専門的知識の提供を受けるための出張旅費および謝金としての使用を予定している。
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