研究課題/領域番号 |
16K11998
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研究機関 | 日本赤十字秋田看護大学 |
研究代表者 |
佐藤 美佳 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部看護学科, 講師 (40739281)
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研究分担者 |
西沢 義子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (60113825)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射線災害看護 / 放射線看護教育 / 災害看護教育 / 原子力災害 / 被ばく医療 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、災害直後から支援できる看護の基礎的知識を理解した看護師育成のために、放射線災害看護を含めた看護基礎教育における災害看護教育プログラムの構築をはかることである。この目標達成に向け、目標1「放射線災害看護の概念分析」、目標2「放射線災害看護実践力(コンピテンシー)の明確化」、目標3「災害看護教育プログラムの構築」の達成をめざす。そこで、平成28年度は、目標1を達成すべく、文献検討を行った。医学中央雑誌Webおよび最新看護索引Webを用いて文献検索した結果、放射線災害看護に関連する295件の国内文献を抽出でき、これらの検討を通し、次の2点の示唆を得た。(1)原発事故を境に、原著論文、総説・解説、会議録共に4~6倍と文献数が増加していることから、看護職の放射線災害看護に関する関心が高まっていることがいえる。(2)原発事故に増加した文献の内容で最も多かったのは「健康リスク管理/メンタルヘルス」次いで「実践活動報告」「放射線の基礎知識」「放射線看護教育」「被ばく医療体制」「災害対策(災害への備え)」等であったことから、放射線に関する知識不足を実感すると共に、放射線災害看護教育の必要性が示唆されたと考える。さらに、この文献検討で得られた原著論文40件と総説・解説109件、および関連書籍6件について、Walker&Avantの手法を参考に概念分析を行っている途中である。分析結果については、次年度報告する。そして、目標2を達成すべく、放射線災害や放射線看護教育に関する有識者14名を対象に、インタビューガイドを用いた半構成的面接を行った。対象者は主に放射線災害医療または緊急被ばく医療の専門医、放射線災害看護または緊急被ばく医療に携わった看護師・看護系大学教員・診療放射線技師である。現在、インタビューデータの解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、(1)放射線災害看護の概念分析 (2)放射線災害看護実践力(コンピテンシー)の明確化のための有識者へのインタビュー を計画していた。概念分析については、準備としての文献検討に予想外に時間がかかり、現在も分析途中ではあるが、有識者へのインタビューは予定よりも早く終了することができた。当初の目標は達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の調査結果を受けて、平成29年・30年度は計画通りに実施する。遅れている概念分析については、まもなく結果が得られる予定である。インタビュー調査で得られた放射線災害看護実践力(コンピテンシー)の明確化をはかり、放射線災害看護教育内容について、より具体的な内容を絞り込み、災害看護教育プログラム再構築へとつなげていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度予定していたインタビュー調査対象者を20名から14名へと変更したため、旅費および謝金について余剰金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、明確化した放射線災害看護実践力および具体的な教育内容について、放射線看護教育および災害看護教育に精通している実践家5名と本研究者らで検討する予定である。その後、明らかとなった構成概念に基づき、具体的な教育内容を明示し、全国の看護系教育機関の災害看護教育担当者へ質問紙調査を実施する予定である。質問紙の印刷および郵送料として使用予定である。
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