研究課題/領域番号 |
16K12000
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
石井 慎一郎 自治医科大学, 看護学部, 講師 (80724997)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 経験学習 / 情動知能 / リフレクション / 精神科看護師 / 感情 |
研究実績の概要 |
精神科看護職171名に自記式質問紙調査を実施した。質問紙には,日本版ESCQ (豊田ら: 2005)(情動の表現と命名[EL],情動の認識と理解[PU],情報の制御と調節[MR]の3下位尺度),経験学習尺度(木村ら: 2011)([具体的経験][内省的観察][能動的実験][抽象的概念化]の4下位因子)を用いた。ESCQ下位尺度の得点をもとに2群に分け,経験学習尺度得点を比較した。また,EIと経験学習との関係は,Pearsonの相関係数を算出した。 回収された158名のうち,不備がない102名を分析対象とした。対象者は,女性78名(76.5%)と男性24名(23.5%),平均年齢は42.0歳±SD 9.6(範囲22-59),平均臨床経験年数は,14.8年±SD 9.8 (1-38)であった。[EL] 平均得点は3.18±SD 0.57,[PU] 2.98±SD 0.58,[MR] 2.99±SD 0.57であった。この得点をもとに経験学習尺度の平均得点を比較した。その結果,[PU]および [MR] 高群の経験学習尺度得点は低群よりも有意に高かった (t検定, p<0.05)。EIと経験学習との間には,[PU]および [MR]に r=0.3~0.4 (p<0.01),[EL]にr=0.2~0.3(p<0.05,[具体的経験][抽象的概念化]を除く)の弱い正の相関が認められた。 本研究の結果から,EIが高ければ経験学習も高いことが明らかとなったものの,これらは概ね想定可能な結果であった。また,各群の[具体的経験]と[EL]間には,統計学的な有意差及び相関関係はみられなかった。今後は,どのような対象者が高い[具体的経験]を示すのか,さらなる検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査そのものは終了している。 これまでの成果の一部の論文化し,投稿手続きを進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 論文の手続きの継続 2. 研究成果の公開(論文,発表) 3. 本研究における課題の明確化
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次年度使用額が生じた理由 |
結果の一部を論文化し,英文誌への投稿のために翻訳・校正(外注)を進めていたが,年度内の納品と論文投稿先の受理が困難であったため,次年度使用額が生じた。 そのため,2019年度は物品費(掲載料・印刷費など)に余剰金を使用する計画である。
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