研究課題/領域番号 |
16K12003
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
中原 るり子 共立女子大学, 看護学部, 教授 (90408766)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 災害看護 / シフト管理システム / 傷病者管理システム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地震などの巨大災害時における看護職員の人事管理システムの構築に向けた基盤を整備することである。 1.傷病者管理システム作成に向けた調査とデータベースの作成 本研究は、東京湾北部を震源地としたM7.3の地震が、冬早朝5時、12時、18時それぞれの時間帯に発生したという、東京都が示した大田区の被害想定をもとに、町丁目別の危険度、人口、重傷者数を推計し、データデータベースを作成した。続いて大田区にある5つの災害拠点病院が掌握する地域別の傷病者数の算出し、それらをマップ上に展開して、時系列に変化する傷病者を視覚的にもイメージしやすいシステムを構築した。 2.看護職員の人事管理システムの検討 看護部および診療部とともに傷病者数に連動する災害時看護職員シフト管理の原案を作成した。災害時は、傷病者が殺到することから、災害時に応じた組織編成とチーム編成を行い、チームごとのシフト管理で対応することが望ましいことが専門家からのアドバイスでわかった。このことを踏まえて、本研究では、災害時の対応能力をを3段階で評価し、それぞれのレベルの看護師を均等に割り振った災害時の看護チームを編成し、チームごとにシフト管理をする方法を思検討した。 また、発災直後から6時間までは重傷者の来院数は少ないことが予測されるため、発災から6時間は6時間勤務、重傷者の来院数が増える6時間から27時間までは、3時間交代勤務としてシフト管理する方法を考えた。参集可能な看護師は654名(68%)であることから、この看護師を先ほどのチームを編成し対応する案を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では、研究フィールドの病院のみの傷病者管理システムであったが、東京都が発表した被害想定を元に、大田区の5つの災害拠点病院が掌握する地域の傷病者管理システムの構築に範囲を拡大することができた。しかも、そのシステムは傷病者の推移を地図上に展開するものであるため、利用する病院関係者もイメージしやすくなり、使いやすいのではないか考える。 また、災害時における看護師のシフト管理は、フェーズごとにある程度、来院する重傷者がわかったことで、対応策が立てやすくなった。さらに、チームごとにシフト管理する方法に変えたことにより、より使いやすいシステムになったと考えたからである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度に作成した傷病者管理システムを病院関係者や有識者に使用していただき、意見を集め課題を明らかにする。 看護師のシフト管理だけでなく、勤務時間と休憩時間の区別をどのように徹底するのか、3つのレベルに分けた看護師の役割分担やアクションシートをどうするのかなどもあわせて検討する。 これらの結果は、国内と海外で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アルバイト320千円を計上したが、アルバイトを雇用しなかったため、繰越金が出た。
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