研究課題/領域番号 |
16K12006
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
荒添 美紀 杏林大学, 保健学部, 特任教授 (60458396)
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研究分担者 |
天野 雅美 東京純心大学, 看護学部, 非常勤講師 (10468382)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 職種間連携 / コミュニケーション / コミュニケーションギャップ / 認知症を有する患者の退院 / 困難 / 情報ギャップ / 認識ギャップ / 感情ギャップ |
研究実績の概要 |
平成29年度は、平成28年度に研究1で実施した18名のインタビューの逐語録を作成した後、コード化をしたうえで質的内容分析を実施した。その結果、職種による職種関連携でのヒューマンスキル(主にコミュニケーションスキル)の特徴や認識、感情に違いがあり、これらの違いが、コミュニケーションギャップ(情報ギャップ、認識ギャップ、感情ギャップ)となり、職種間連携でのコミュニケーションを困難にしている要因の1つと考えられた。また、認知症を有する患者の退院をめぐる職種間連携では、職種による患者の捉え方、退院の考え方に違いがあった。 そこで研究2は、職種によるコミュニケーションや認識、認知症を有する患者の退院をめぐる職種間連携での困難さなどを明らかにすることを目的とし、研究1で得られた結果および先行研究をもとに、質問紙を作成したうえでアンケート調査を実施した。 アンケート調査は、倫理委員会の承認を得たうえで、全国の200~400床未満程度の急性期病院に勤務する医師、看護師(退院調整)、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、訪問看護師各500名(合計2,500名)に、郵送法で実施した(1病院・1施設、各1名)。 その結果、医師38名、看護師(退院調整)69名、訪問看護師89名、ケアマネジャー134名、医療ソーシャルワーカー71名、合計401名(回収率16.0%)の回答が得られた。得られたデータを統計的に分析をした結果、職種により職種間連携でのコミュニケーションスキルや、連携、退院に対しての認識の違いが明らかとなった。またこの違いが、情報ギャップ、認識ギャップとなり、職種間連携の困難の要因の1つとなっていると考えられた。さらに職種により、認知症の疾患の理解・認知症症状に対する援助の理解にも違いがあった。また認知症を有する患者の生活は、どの職種もあまり理解していないこと明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、平成28年度のインタビューで得られたデータを質的内容分析をし、認知症患者の退院をめぐる職種間連携において、各職種が職種間連携をどのように認識しているのか、またコミュニケーションが困難と感じている内容を明らかにしていく予定であった。 そこで平成29年度は、研究1で収集したデータの質的内容分析を行ない、その結果をもとに研究2につながる質問紙を作成したうえで、全国の医師、看護師(退院調整)、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、訪問看護師2,500名に対して、倫理委員会の承諾を得てアンケート調査を実施した。また回収されたアンケートを集計し、分析まで進めている。そのため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度実施した研究1、研究2で得られた結果や、病院や基礎教育などで実際に行なわれている多職種連携の研修会等の情報も得たうえで、今後、職種間連携でのチーム医療・介護に向けてのコミュニケーションスキルをどのように育成していけばよいかを検討してく。また、これまでの研究成果を、学会発表や論文作成をし、また研修会などで活用していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成29年度は、平成28年度で行う予定であった研究1で実施予定であったデータの内容分析を行なったり、今年度予定していた研究2のアンケートを実施した。そのため、実態調査や成果をまとめている状況のため、旅費は使用しなかった。またデータ入力や書類の整理などのために人件費・謝金を計上していたが、データ入力や整理は研究者で実施したり、一部外部に発注依頼をしたため、人件費・謝金は使用しなかった。 (使用計画) 平成30年度は、研究の成果発表にむけての旅費や学会参加費、また論文を作成するためのソフトなども購入する予定である。また論文投稿にむけて、英文の依頼や投稿するための経費として使用していく予定である。
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