研究課題/領域番号 |
16K12012
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
長尾 多美子 四国大学, 看護学部, 助教 (40716049)
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研究分担者 |
橋本 茂 四国大学, 看護学部, 教授 (60552099) [辞退]
桑原 知巳 香川大学, 医学部, 教授 (60263810)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 医療関連感染 / 精神科 / アウトブレイク / 感染管理体制 / 流行段階別感染対策 |
研究実績の概要 |
2016年から開始しているアルコール手指消毒剤使用量のサーベイランスでは、2016年度60780ml、2017年度72840ml、2018年度74660mlと年々増加が認められ、開始年度と比較し1.23倍となった。また、療養環境25平方センチメートルあたりの細菌数を2017年度と2018年度で比較すると、清潔区域では134コロニーから34コロニーへ、不潔区域では44コロニーから27コロニーに減少した。医療関連感染の媒介となるリスクの高い要因は、医療従事者の手指と環境であるが、精神科病院の特徴や精神疾患患者の特性を踏まえた職員研修、継続した環境ラウンドなどから、手指衛生や療養環境調整が職員間で習慣化してきた成果と考えられる。 また、2016年度に実施した感染対策に対する認識を調査するためのアンケートと同じ質問を、2018年度に再度実施した。感染対策委員、スタッフ、事務・クラークすべての職種で大きく改善した項目は、「勤務終了時に鍵の洗浄(流水と手指衛生用石鹸を用いて)を行っていますか。」「鍵に付属物(キーホルダーなど)を付けていませんか。」であり、精神科病院に最も特化し、医療関連感染の要因となり得る鍵の管理であった。また、当該施設ではインフルエンザアウトブレイクを経験していることから、「家族や面会者にも、手洗いやマスクの着用、外泊時の健康管理についての指導をしていますか。」という質問に対して、事務・クラークの3割弱が「いいえ」から「はい」に変化したのは、組織としての取り組みが進んだ結果であり、大きな成果と考えている。 今回の成果を、施設環境や患者特性の共通点が多い知的障害者施設や老健施設などの社会福祉施設でも導入、活用できるよう、継続した取り組みを行っていきたい。
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