平成30年度は、患者の直面する困難や課題ごとにコンフォートを促進するケアを明らかにすることを目的として取り組んだ。コンフォートを促進するプロセスは、①困難、②コンフォート、③看護師の気づき、④対話をしながら関係性を築く、⑤Comfortを促進する関わり(ケア)であった。End of Lifeの時期にある事例検討では、穏やかで、家族がお見舞いに来てくれるととても喜んでいる場面から、(つながりを感じている)というコンフォートを感じ取り、Aさんの「家に帰りたい」という思いをより一層現実にできるよう支援を始めた。ご家族との対話をして、ご家族の言葉から「家に連れて帰りたい」という思いがあるものの、「家に帰り何かあったときのことを考えると不安である」という気持ちに気づき、家に帰る上で不安や困難を多く抱えていることが分かった。そのためご家族との関わりを多くし、不安に思っていることを聴き、パンフレットを用いて吸引方法、経管栄養法などの技術を指導し、ケアマネージャー、訪問看護師との退院前カンファレンスを行った。自宅ではご家族がベッドのそばに寄り添い、足をさするなどの介護を行いAさんは安心した表情をされていた。この事例でのコンフォートを促進する関わりとは、Aさんの入院中から見せていた(つながりを感じている)というコンフォートを基軸にして、ご家族の「家に連れて帰りたい」という願いを引き出し、(つながりを感じている)というコンフォートが共鳴するような関わりを積むケアであった。この事例では、ご家族にとって最初、家に帰ることは、(状態を悪化させてしまう)何か起こるかもしれないという不安を引き起こすことであったが、対話を積み重ね、ご家族が寄り添い安心して笑顔になれるような生活場面を創るケアで、自宅へ退院が可能になった。今後もさらに事例を検討しComfortを促進するケアを記述する予定である。
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