本研究では患者教育に対する看護師のビリーフ尺度を開発することを目的とした。 第1段階は、看護師に求められるビリーフの構成概念を先行研究から検討整理し、尺度原案を作成した。第2段階の調査1は看護師を対象として調査を行い、ビリーフ尺度の構成概念、尺度の原案の信頼性と妥当性を検証した。調査2は保健師を対象として同調査を実施し、看護師特有のビリーフであることを検証した。 結果、第1段階では67項目の尺度原案を作成した。第2段階の調査1では、対象は看護師605名(79.3%)、有効回答552名(72.3%)であった。看護師経験年数は平均10.5年であった。重みなし最小二乗法のプロマックス回転、因子数5にて探索的因子分析を行った。因子負荷量は0.4以上を採用し、因子分析を繰り返した結果、26項目5因子構造にて明瞭な最適解を得た。第1因子を【生活者としての患者】、第2因子を【患者の持つ効力】、第3因子を【症状に沿った関わり】、第4因子を【患者との土台つくり】、第5因子を【柔軟な患者の見方】と命名した。Cronbach'sα係数は、ビリーフ尺度全体で0.92、各因子0.72~0.87で0.7以上を示した。構成概念妥当性の検討は、確認的因子分析として共分散構造分を行い、モデルの適合度GFI=0.881、RMSEA=0.064を得た。 調査2では、対象は保健師166名(40.7%)で有効回答145名(35.5%)であった。ビリーフ尺度合計のCronbach'sα係数は0.873であった。看護師の尺度得点と比較し、合計得点(p<0.01)で有意差があり、第2因子、第3因子、第5因子に有意差が認められた(p<0.01)。 患者教育における看護師に求められるビリーフ尺度26項目を開発した。5つの下位尺度により、ある程度の信頼性と妥当性が証明された。
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