本研究の目的は、クリティカルケア看護の専門看護師(CCNS)の直接ケアコンピテンシーと教育課程修了時の到達度を明確にすることである。 平成30年度は、国内文献から抽出した61の直接ケアコンピテンシーの内容妥当性を臨床的に検討するために、5年以上の臨床実践経験を持つCCNS 6名を対象にフォーカス・グループ・ディスカッション(以下、FGD)を行った。FGDでは抽出したCCNSの直接ケアコンピテンシーについて、①日本のCCNSの臨床実践の現状を反映しているか、②CCNSへの役割期待が反映されているか、③コンピテンシーの表現は適切であるか、④新たなコンピテンシーとして考えられるものはないか、⑤コンピテンシーの表現は適切であるか、についてディスカッションを行った。場所は東京都内の会議室とし、FGDの時間は120分以内とした。 FGDによる議論・意見を踏まえて、データを再分析・修正した結果、CCNSの直接ケアコンピテンシー項目は、62に集約された。さらにこれらは、【回復の可能性を見通した包括的なアセスメント】【批判的思考による問題の特定と優先順位づけ】【多角的視点によるアウトカムの設定】【分析的な思考と判断による最適なケア計画の立案】【患者・家族を中心としたケア計画の個別的な調整】【患者の転帰を最適化する看護実践】【専門知識・技能に裏付けされた個別的看護実践】【多角的・多面的視点による実践評価】【様々な倫理的問題に対処するための調整】【最適なケア提供に向けた人的・物的環境の調整】【患者の転帰を最適化する教育的支援】【研究成果の吟味と活用】【患者・家族のアウトカム達成に向けた相談】【他職種連携を促進するリーダーシップ】【相互理解・相互関係を深化させるコミュニケーション】【研鑽による専門的実践の維持・向上】16のコンピテンシーに分類された。
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