糖尿病患者が療養生活を送るうえで,健康や病気に対する主観的な感覚である健康感を踏まえた看護介入を行うことが重要であると考え,糖尿病患者の血糖コントロールを支援するための健康感を用いたケアモデルを構築するための取り組みとして,昨年度までの検討内容をもとに縦断調査を実施した. 縦断調査では,糖尿病看護をサブスペシャリティとする慢性疾患看護専門看護師,糖尿病看護認定看護師の所属する4施設にて,外来通院する糖尿病患者100名を対象とした療養指導の内容と,身体症状が現れないと“ 病気である”と意識しにくい糖尿病をもつ人に特有な健康観を捉える尺度(元気感と病い感)の尺度値と血糖コントロールの状況(血糖値など)について1年間の経時的な変化から,看護師による療養指導による変化を捉えるための調査を試みた.88名を分析対象とし,対象の属性は,男性52名(59.1%),女性36名(40.9%),年齢64.6±9.3歳,身長161.3±9.4㎝,ベースラインの体重65.9±12.3㎏,血糖値144.2±56.0mg/dl,HbA1c7.1±1.0%,糖尿病腎症第1期43名(48.9%)第3期20名(22.7%)であった.療養指導による血糖値,HbA1c,健康感への有意な差は認められなかった.尺度値と検査値との関係をみると,初回から10カ月までの間,元気感とHBA1cとの間に-0. 599~-0.344の有意な負の相関が認められたが,11カ月以降は有意な相関が認められなかった.検査値と病い感および食事療法のつらさには有意な相関が認められなかった. 同時に,慢性疾患看護の研究者および糖尿病看護をサブスペシャリティとする慢性疾患看護専門看護師,糖尿病看護認定看護師による知識と経験から吟味した内容をもとに,月1回程度の検討会により,外来における糖尿病患者への介入について検討を行った.
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