本研究の目的は、①神経難病患者の痛みの経験と実態を明らかにする、②神経内科病棟看護師の神経難病患者の痛みの看護に関する教育ニーズを明らかにする、③神経内科病棟看護師への痛みの看護を促進する支援プログラムを考案し評価することにある。研究実施計画は3段階で構成されており、2018年度は、2017年度に引き続いて第2段階の「神経難病患者の症状に対する看護実践の現状および困難に関する調査」の結果から教育ニーズを分析した。これらに基づき第3段階の「神経難病患者の痛みの看護に関する神経内科病棟看護師を対象とした支援プログラム作成」の骨子を構築した。 これまでの研究の経緯としては、第1段階で神経難病患者の知覚異常(痛み、痺れなど)に関する経験を明らかにし、患者の症状に伴う体験や結果、そして対処を報告した。対象は様々な知覚異常を経験しながらも十分なサポートがないために独自対処していることが明らかとなった。つまり看護援助の積極化が必要な状況であり、第2段階以降に進むことの必要性を確認した。 第2段階では、神経内科病棟に勤務する看護師(以下では神経内科看護師)243名を対象に、知覚異常を含む8の症状緩和に関する看護実践の現状と困難を調査した。結果、症状発症の機序や患者の理解、そして心理的な援助への教育ニーズを明らかにできた。 第3段階では、過去の取り組みから「リフレクション」を主とした内容で、第1段階、第2段階の知見を踏まえて、①神経難病看護師の知識基盤の課題、②不全感といった感情管理の課題、③患者理解の課題に着目したプログラムを構築し、実施および評価する。
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