研究課題/領域番号 |
16K12052
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
溝部 昌子 国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 准教授 (00625684)
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研究分担者 |
岩倉 真由美 国際医療福祉大学, 福岡看護学部, 助教 (70743748)
宮田 哲郎 国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 教授 (70190791)
重松 邦広 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (20215966)
田中 理子 九州大学, 薬学研究院, 特任助教 (20648480)
林田 賢史 産業医科大学, 大学病院, 医療情報部長 (80363050)
星野 由美 神奈川歯科大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60457314)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 血管看護 / コンピテンシー |
研究実績の概要 |
1血管看護師の教育、コンピテンシーに関する文献レビュー 米国Society for Vascular Nursing、英国Society of Vascular Nursesは血管看護師のコンピテンシーをジェネラリストや高度実践者に分けて示しており、日本においても能力水準の区分、モジュール式での教育の有用性を確認した。 2質問紙調査の実施 日本血管外科学会認定血管内治療医275名とその所属機関の看護師を対象とした調査を実施した。回収:医師68人(25.4%)、看護師40人(22.1%)。血管診療に特別な役割がある看護師がいると回答した医師は33人(48.5%)、診療部門・勤務場所を超えて横断的に勤務しているのは14人(28.0%)であった。看護師の背景は、皮膚排泄ケア認定看護師、弾性ストッキングコンダクター、糖尿病認定看護師があった。12の行為について、入院・外来での現状と今後の課題について尋ねたところ、現状で不足しており、質・量ともに充実が必要であるとされたのは、入院-フットケア、入院-創傷処置、入院-身体診査、入院-病歴聴取であった。入院-服薬指導、外来-無侵襲診断、外来-検査説明、入院-介護保険関係では、「現状でよい」とする回答が多かった。看護師に望まれる技術水準を32の項目について尋ねた。総じて看護師が医師に比べて高い水準を回答し、医師・看護師共に「熟知・熟練」の割合が多かったのは、「術後患者の看護」「創傷・潰瘍の管理」「圧迫療法」「脈管解剖」「病歴聴取」「身体診査」であった。制度・教育・組織の点での自由記載について、合計で1万文字超の回答を得た。内容分析により、血管看護師の資格の創設、保険算定などの制度の充実、有資格者への報酬や組織内での配置など働き方に関するもの、血管看護の知識や経験を修得できる教育システムに関すること、血管看護の認知を高めることなどがあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在は、「血管診療における看護師の役割に関する調査」結果の分析途中であり、今後血管看護師の勤務の実態について明らかにすることが可能であると考える。明らかにされた血管診療における看護の課題について、血管看護師に求められる知識・技能水準で優先度の高い項目から教育プログラムとして開発・実践していく指針を得た。また、求められている資格制度の創設や診療報酬化に向けて、研究者が代表を務める日本血管看護研究会や論文を通して、血管看護の実践とその蓄積のプロセスを示している。 英米で示された血管看護師のコンピテンシーは、今後の教育モジュール開発に活用できると考えるが、日本における看護師の役割を独自に検討する必要があり、平成28年3月より「血管看護のコンピテンシーと専門性の確立に関する聞き取り調査」に着手した。 平成28年度本研究計画で第1ステップ(調査)に示した①文献検討、②全国調査は完了、③聞き取り調査は進行中であり、既に平成29年度以降第2ステップ(開発)に移行しており、進捗は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度としては、以下5つを予定している。1第1ステップ(調査)における①血管看護師の教育、コンピテンシーに関する文献レビューについては、メディカルリハビリテーション誌に寄稿し、印刷中である。今後は学術誌への投稿や、本研究で開発する教育プログラムに活用される。2第1ステップ(調査)における②「血管診療における看護師の役割に関する調査」の結果の分析と公表。3第1ステップ(調査)における③「血管看護のコンピテンシーと専門性の確立に関する聞き取り調査」の継続と結果の分析、公表。4第2ステップ②「血管看護教育モジュールコンテンツ開発」モジュール型オンラインコースの開発に着手した。看護師がオンラインで無料でコースを受講でき、修了テストと修了証の発行により、血管看護師の資格創設のファンダメンタルな事業として機能することが期待される。コンテンツは共同研究者及び専門家に執筆・制作を依頼する予定である。5第2ステップ①血管看護教育モジュールの一部として、「血管看護領域における包括的患者アセスメント方法の開発」を行う。 平成30年度は、第3ステップ(実践)を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画してた調査実施が平成28年12月~29年1月となり、調査結果の分析、成果の公表に至らなかった。このため教育モジュール開発に進まず、コンテンツ開発費用や成果の公表にかかる経費を支出しなかったため、当該年度の予算を次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
計画している第2ステップ(開発)における、教育モジュール開発に関わる執筆者への謝礼、オンラインコースの無料提供などのシステムの構築に充当する予定としている。 また、血管看護領域における包括的患者アセスメント方法の開発に関して身体診査に必要な機器とそれ関する看護師への教育に必要な物品の購入を予定している。
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