研究課題/領域番号 |
16K12058
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
坂井 さゆり 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40436770)
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研究分担者 |
内山 美枝子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10444184)
宮坂 道夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30282619)
菊永 淳 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50634862)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ナラティヴ / ターミナルケア / 緩和ケア / 臨床倫理 / 教育 / アドバンス・ケア・プランニング / ケアリング |
研究実績の概要 |
調査1【目的】「人生のまさか」を経験した当事者の語りを収集し、ナラティヴ・ア-カイブをつくる。【方法】期間は、2016年4月~2018年4月である。対象は、①病いの語り手、②健康被害の語り手、③喪失の語り手とし、方法は、個別面接調査、がんカフェ(サロン)、セルフケア教室、ライフストーリー制作、講演、物語展示、ワークショップ等の事業を企画・実施し、その場で得られた物語を記録することや、既存の手記・記録類の収集である。【平成28年度の進捗状況】平成28年度は、予備調査や環境づくり、情報収集を中心に実施した。①病いの語り手から、高齢がんサバイバーのスピリチュアリティ、子育て中の女性がん患者の語り、神経難病患者のケアに従事する看護師の語り、乳腺外来の看護師の語り等を収集した。②健康被害の語り手から、新潟水俣病患者やハンセン病患者の人生紙芝居を作成した。③喪失の語り手として、看取りのケアに従事している新卒看護師の語り、看護学生の死生観とターミナルケア態度について検討した。また、治療に伴う脱毛、失語症・視覚障害・精神障害等を経験している人々の経験や、痛み経験の可視化法など情報収集を行った。 調査2【目的】当事者、医療者(医療系学生)の交流・対話のナラティヴをエスノグラフィ法およびナラティヴ研究法を用いて分析し、「場」に生じる「ケア」や「意味」を可視化する。【方法】期間は、2016年4月~2018年4月である。対象は、調査1における「場」および緩和ケアのACP実践場面とし、対話や行為をエスノグラフィ―法を用いて記述する。参加者の相互作用(対話)において、会話がどのようにして作りだされ、ナラティヴとして演示されるかを探求する。【平成28年度の進捗状況】本年度は、調査1における②健康被害の語り手と看護学生の間の、人生紙芝居の上演による「ケア」の参加観察を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査1および調査2は、2016年度~2017年度に渡り、継続的に実施していく課題である。研究実績の概要に示したとおり、研究計画は、当初予定どおり進捗している。平成29年度は、調査3も見据えて、内容を洗練していく。
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今後の研究の推進方策 |
調査1および調査2は、平成29年度も継続して実施する。さらに、調査3として、ナラティヴ・アーカイブを活用した臨床倫理教育の有用性を検討する。調査3では、医療者(医療系学生)を対象に調査1および2の結果を用いて、“当事者性”、“正義とケア”、“パターナリズム”、“ケアの連続性”について考えるワークショップを企画・検討し、実施に向けた準備を行う。また、ナラティヴ・アーカイブを活用したアドバンス・ケア・プランニング教育のワークショップや講義を企画・開催する。ワークショップや講義参加の前後では、アンケート調査を実施し、内容の有用性を評価し、ナラティヴ・アーカイブを活用した臨床倫理教育の有用性について検討する。
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