研究課題
調査1 【目的】「人生のまさか」を経験した当事者の語りを収集し、ナラティヴ・ア-カイブをつくる。【方法】対象は、①病いの語り手、②健康被害の語り手、③喪失の語り手とし、方法は、個別面接調査、がんカフェ、セルフケア教室、ライフストーリー制作、講演、物語展示、ワークショップ等の事業を企画・実施し、その場で得られた物語を記録することや、既存の手記・記録類の収集である。【平成29年度の進捗状況】語りの収集および分析を実施した。①病いの語り手から、昨年度収集した高齢がんサバイバーのスピリチュアリティ、神経難病患者のケアに従事する看護師の語り、乳腺外来の看護師の語り等を学会で公表した。②健康被害の語り手から、昨年度に作成した新潟水俣病患者の人生紙芝居を、学生が当事者や一般市民の前で演じ意見交換を行った。③喪失の語り手として、祖母になる経験の分析、ホノルルのフォスター・ホーム(ホスピス)において日系人の高齢者の語りや看護師、ボランティアの物語を収集した。また、ニューロエシックスとAIに関する文献収集を行い、障害者の経験について検討した。味覚障害を経験している人々の経験や、妊産婦の身体経験の可視化などから当事者視点を理解する方法も検討した。調査2 【目的】当事者、医療者(医療系学生)の交流・対話のナラティヴをエスノグラフィ法およびナラティヴ研究法を用いて分析し、「場」に生じる「ケア」や「意味」を可視化する。【方法】対象は、調査1における「場」および緩和ケアのアドバンス・ケア・プランニング(ACP)実践場面とし、対話や行為をエスノグラフィ―法を用いて記述する。参加者の相互作用(対話)において、会話がどのようにして作りだされ、ナラティヴとなるかを探求する。【平成29年度の進捗状況】講義・研修会で、収集したナラティヴを使用し、臨床倫理の検討およびACPについて学ぶ参加者の参加観察を実施した。
2: おおむね順調に進展している
2016年度~2017年度に渡り、ナラティヴの収集を行った。最終年度は、調査3を中心に検計画を実施し成果をまとめる予定である。
調査3として、引き続きナラティヴ・アーカイブを活用した臨床倫理教育の有用性を検討する。調査3では、医療者(医療系学生)を対象に調査1および2の結果を用いて、“当事者性”、“正義とケア”、“パターナリズム”、“ケアの連続性”について考えるワークショップを企画・検討し、実施に向けた準備を行う。また、ナラティヴ・アーカイブを活用したアドバンス・ケア・プランニング教育のワークショップや講義を企画・開催する。ワークショップや講義参加の前後では、アンケート調査を実施し、内容の有用性を評価し、ナラティヴ・アーカイブを活用した臨床倫理教育の有用性について検討する。
平成28年度は、既存の資料で分析できたこと、各分担研究者による分析が遂行され、人件・謝金の執行を行わずに実施してきたことなどがある。平成30年度は、評価のためのワークショップを開催する予定であるため、次年度使用額を残し予算執行した。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 8件) 図書 (6件)
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