研究課題
本研究の目的は、転倒予防のための臨床判断力育成に係る省察モデル・省察ガイドラインを開発することである。本研究の背景として、卓越した臨床判断力は一般的には多くの成功・失敗体験を積む必要があるため何年もかかるといわれている。しかし、効果的に省察(リフレクション)教育を取り入れることができれば、より早く失敗体験を回避した有効な臨床判断力を育成できる。このことは、新人看護師のケア能力への自己肯定感が向上することや、行動予測が困難な転倒リスクの高い患者の転倒および転倒により生じる損傷の予防に貢献する。今年度の研究の目的は、熟練看護師26名のインタビュー成果に基づき開発した「新人看護師の転倒予防のための臨床判断力育成に係る省察モデル」および「その省察ガイドライン」が妥当であるかを検証することであった(金沢大学医学倫理審査委員会承認:949-1)。新人看護師を除く看護師を対象に無記名自記式質問票を437部配布・364部回収(回収率83.3%)し、有効回答は357部(有効回答率98.1%)であった。また、看護師長に33部配布・24部回収(回収率:72.7%)し、有効回答率は100%であった。モデルの妥当性・重要性・実行可能性の級内相関係数(二元配置混合モデル 一致性)はr=.693(95%信頼区間[CI]:.929-.884)であった。モデルのガイドラインとなる指針は、妥当性はr=.995(95%CI: .987-.999)、重要性はr=.995(95%CI:.988-.999)、実行可能性はr=.955(95%CI:.988-.999)であった。以上のことから、本モデルとガイドラインは看護師の継続教育として使用可能であることが示唆された。
すべて 2019 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)
日本転倒予防学会
巻: 5 ページ: 29-41
看護実践学会誌
巻: 31 ページ: 48-58
日本老年医学会誌
巻: 56 ページ: 487-497
https://doi.org/10.3143/geriatrics
Nutrition
巻: 70 ページ: 1-7
https://doi.org/10.1016/j.nut.2019.110582
日本看護科学会誌
巻: 39 ページ: 157-164
https://doi.org/10.5630/jans.39.157
http://ronenrh.w3.kanazawa-u.ac.jp/